
ウォルマートの配達ドローン。青い袋に入れて配達する(写真:ウォルマートのHPより)
世界は今、AI革命をはじめとするテクノロジーの激変期にあり、その潮流は政治・経済の構造そのものを変えつつある。そして、その最前線に位置するのが、シリコンバレーだ。本連載では、アメリカにおける政治・経済の深層と、ビジネスの未来を方向づける最新トレンドを、日本のリーダー層に向けて発信していく。
公式登録されたドローンが約90万機
サンフランシスコやテキサス郊外では、民間ドローンの独特な羽音が日常的となっている。一方で羽田空港へ向かうジャンボ機の午後の轟音を除けば、東京の空は静かだ。これは日本のドローン規制が機能している証拠だ。
世界のドローン市場規模は2024年の10.6兆円から2030年には23.7兆円に拡大すると予測されている。アメリカでは公式に登録されたドローンが2025年7月時点で約90万機にのぼり、FAA(アメリカ連邦航空局)の認定操縦者は同時点で約50万人にも及ぶ。
しかし、規制違反も後を絶たない。都市部では、公園やビーチのみならず、サンフランシスコの高層マンションの窓から部屋を盗撮。市民のプライベートな瞬間が狙われている。しかし、一戸建て住宅であっても、上空を飛び回るドローンに対して警察が対処できる手立てはほとんどない。
FAAの責任者自身が「アメリカの空を飛ぶドローンの正確な数は把握できていない」と認めるほどだ。ドローンは既に軍事攻撃能力を備えているが、AI技術の進化に伴い完全自律型ドローンが主流となる勢いだ。21世紀の都市や国家設計にとってドローンの規制は極めて重要な課題である。
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