
トランプ政権がインテルに投資した理由
賞賛されようと非難されようと、トランプ政権が大胆かつ革新的な経済戦略を打ち出したことは明らかだ。
アメリカの技術覇権の象徴であったインテルは2024年12月期、円換算で約2.8兆円におよぶ巨額赤字を計上し、株価は半分程度へ急落し、市場では企業としての存続を危ぶむ声すら上がった。
PCの心臓部であるCPU(中央演算処理装置)で圧倒的なシェアを誇ったインテルは、先端プロセスのロジックチップをアメリカ国内の工場で量産できる唯一のアメリカ企業である。その存続は、同国の国益に不可欠だ。
8月にトランプ政権は国家安全保障上の必要性からインテルに対して約1.3兆円を直接投資し、10%の株式を割安価格で取得したのは、そのためである。さらに、ファブレス化を阻止するため、インテルが製造部門を切り離した場合に株式5%を追加取得できるワラント(新株予約権)も保有した。
バイデン前政権の「CHIPS法」では株式の取得条件なしで大規模補助金を提供した。それに対し、トランプ大統領は「納税者に直接的見返りを与えるべきだ」と主張。マイクロン・テクノロジー(62億ドルの援助)、TSMC(66億ドルの援助)、サムスン電子(47.5億ドルの援助)にも、政府による株式取得を前提とする案を提示している。
アメリカ企業であるマイクロンはアメリカ政府による株式取得を歓迎する可能性が高いが、外国企業への出資の場合には、どうなのだろうか。
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