「朝から晩まで木の上」「本物の虫を食べた」山田裕貴が“極限状態の兵士”を演じて起きた変化とは?堤真一との共演についても聞いた

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――共演経験はなかったものの接点があったとか。

実は10年くらい前に共演した木下あかりさんの縁で堤さんの家を訪ねたことがあって。そのときもお芝居の話をたくさん聞かせてもらったんですけど、僕はもう緊張しすぎて内容ほとんど覚えてなくて(笑)。今回の共演は、そんな過去の縁が結んだ偶然でした。「ようやく、ここまで来られたな」って思いました。

心を動かす。それが、俳優としての使命

――この作品を通じて、俳優としてどんな使命を感じましたか?

山田裕貴さん
(撮影:長田慶)

僕がこの仕事をしている意味って、こういうところにもあるんだなと、今回改めて感じました。歴史や過去の出来事を、多くの人に伝えられるというのは、本当に大きな意味があることだと思います。この作品に携わる中で、その重要性を強く実感していました。

――演じることで「伝える」責任を実感されたんですね。

僕のデビューは2011年。『海賊戦隊ゴーカイジャー』でヒーロー役でした。でも、ちょうど東日本大震災の年で……自分に何ができるのか、わからなかった。大震災の混乱の中、子どもたちから届いた手紙に「ゴーカイジャーが助けてくれるって信じてる」と書かれていて。でも、現実では何もできない。自分の無力さを感じました。

そんなとき、プロデューサーから言われた言葉が今も忘れられません。「娯楽は、真っ先に不要とされる仕事だ。だからこそ、何ができるかを常に考えている」。その言葉が、僕の軸になりました。

そこから1年後、宮城で開かれたヒーローショーで「頑張れー!」と叫ぶ子どもたちの声に救われました。現実を救えなくても、心を動かすことはできる。それだけで、やる意味があるって思ったんです。

――その“心を動かす力”が、今の原動力につながっているんですね。

山田裕貴さん
(撮影:長田慶)

今もその思いは変わりません。感情を動かすことが、俳優の仕事。歴史作品でも、コメディでも。“誰かに届くかどうか”がすべてです。“好感度”が求められる時代でも、僕が信じるのは「いい芝居」であり、「届ける力」。自分がどう思われるかじゃなくて、作品をどう届けるか。それが、俳優としての使命だと思っています。

そして今日もまた、問い続けています――「この芝居でよかったのか?」。“完成しない俳優”として、生き続けるために。

ヘアメイク/小林純子 スタイリスト/森田晃嘉

池田 鉄平 ライター・編集者

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いけだ てっぺい / Teppei Ikeda

Jリーグ、国内、外資系のスポーツメーカー勤務を経て、ウェブメディアを中心に活動。音楽一家で育ち、アーティストとしてインディーズでアルバムリリースも経験。スポーツ、音楽、エンタメを中心に取材活動を行っている。

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