泳ごうともしなくなるし、金を払ってまで渡る意味もない。そもそも要求される金を持ち合わせていない。そんな有様が今の少子化につながる未婚化なのですが、政治家も官僚も向こう岸から拡声器を使って「おーい、こっちまで来たらお金もらえるぞ、こんなにお得なサービスがあるぞ」というばかりです。それが、いわゆる子育て支援です。
しかし、問題は、向こう岸に渡りたくても渡れないという物理的な問題にあり、いくら対岸から「こっちへおいで」と呼ばれても、それこそ三途の川の案内人の手招きにしか見えないでしょう。
しかも、対岸でのサービスを充実させればさせるほど、その分皮肉にも大河の幅は広がる一方です。手当も含めた子育て夫婦の世帯年収が標準化されるからです。これが「結婚300万円の壁」が「470万円の壁」まであがってしまった要因でもあります。
少子化対策が的外れな理由
かくして、泳ぐ力のある者または渡河するお金を支払える者だけが対岸に渡り、渡河後(結婚後)至れり尽くせりのサービスを享受できる一方で、行きたくても行けない「不本意未婚」は呆然と立ち尽くし、そのうち無理に渡る必要を感じない「選択的非婚」となって生涯独身の岸で生きることを決意することになります。
少子化対策が的外れなのは、支援を必要としている層には何の恩恵もなく、支援がなくても大丈夫な層にさらなる恩恵があるような仕組みになっているからです。
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