もちろん、中には「泳げるようになってやる」と意欲をもって鍛錬をし、最終的に大河を泳いで渡りきる努力家もいるかもしれません。そこに登場するのが、「いくら払ってくれれば泳げるようにしますよ」と商売を始める者たちです。もしくは、もう泳ぐ必要もなく、有料で渡し舟をご用意しますよという商人も出てきます。これにより、渡河は泳ぐものではなく、金を払うものという概念が広がります。ここに結婚の年収の壁のインフレが始まります。
しかし、必ずしも善意の商人だけではなく、そのうち、悪意の商人も出てきます。泳げるようになると言いつつ何の役にも立たないトレーニング法だけ売りつけて、「泳げないのは努力が足りないからだ」と知らん顔をするわけです。恋愛コンサル的な商売です。
「金だけ払って渡れない」者の屍が積み重なる
そのうちに「マッチングアプリ」号と書いたクルーザーがやってきて「課金していただければ向こう岸に渡れますよ」という輩も出てきます。しかし、お金は払うものの、いつまでたってもクルーザーに乗せてもらえないことになります。そのうち、別の「ロマンス詐欺」号がやってきて、それはさらに法外な料金を取った上で、クルーザーには一度乗せますが、向こう岸につく前に途中で大河に突き落とされます。
こうして大河には累々と「金だけ払って渡れない」者の屍が積み重なっていくことになります。そんな惨状を目の当たりにして、無理に大河を渡ろうとする者はいなくなるでしょう。
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