参院選の争点“消費税減税”「物価高対策にはなじまない」「財源確保せず議論に踏み込むのは危険」と小野寺五典・自民政調会長が語る根拠
——立憲民主党の野田代表が1年間だけとはいえ、軽減税率をゼロにする提案をしています。財源はいずれ示すと言っていますが、この提案は無責任だという見方をされている?
そこはよくお話を伺わなきゃいけないと思っています。1つあるのは、1年でそうとうな事務作業が発生します。その1年後に切り替えるときには駆け込み需要とその後の一定の物を買わなくなる時期が続きます。そういう面では経済にどれだけプラスになるかどうかはわからない。
社会保障の財源をどういう形で確保していくか、どこに求めるかを議論すべきで、これがないかぎり、単純に消費税減税の議論に踏み込むのは危険だと思います。
——ただ物価は上がっているし、食料品の値段もコメを中心にすごく高い。エンゲル係数も43年ぶりの高水準になっている。今までは消費税減税を訴えた政党が選挙で勝つことはなかったけれども、これまでとはかなり局面が違うんじゃないか。小野寺さん、そう感じないですか。
非常に感じています。私も毎週スーパーで物価を見ています。例えば昨年の暮れあたりに生鮮食品が天候不順によってかなり上がりました。キャベツが1玉1000円とか。私が見たスーパーではそこまでありませんでしたけど、高かったです。
ただ、その後は天候がある程度落ち着いたのと、春野菜が出てきて、生鮮食品はある程度落ち着きを見せています。ガソリンも一定の落ち着きが出ている。
あとはコメなんです。今、コメの価格を何とか下げたいと思っています。農家が出荷している価格はそんなに高くはないのに、スーパーで出ている金額を見ると高い。「どうしてこんなに高くなっているんだ」って、農家自体が憤りを持っている。
——農家はあまり価格高騰の恩恵を受けてない?
ないです。今年は例年よりも出荷価格が多少高かったので、農家もほっとしていました。ところが、ニュースを見て、みんな驚いています。「なぜこんなに高くなっているのだろう?」と。
これをよく問われるので、私自身、政策の責任者として農林水産省を呼んで、どこで目詰まりをしているのか、なぜ高くなっているのか、そこを今しっかり確認しています。
備蓄米で国が儲けてしまっている
——備蓄米を放出しても値段が下がらないのは、流通経路に何らかの問題があるという見方ですか?
私はそういう感覚を持っています。備蓄米は本来は飢饉が起きて大変なときに放出するというものです。
今回はさすがに飢饉ではありませんが、かなり消費者から見たら高い値段でコメが流通している。これはやはりお困りの方がたくさんいるので、少しでも安い値段で供給したいというのが普通ですし、もともと備蓄米自体は60キロ1万2000円〜1万3000円で買ってるんですよ。
それを同じ値段で出せば、たぶん今流通してるコメの半分以下の金額ですから、値段も落ち着くと思うんですが、入札という制度になってしまったので、2万2000円で入札されているんです。
そうすると国が儲けちゃっているわけですね。それは、おかしいだろうと。米価が高くて困っている方々に少しでも安いコメが届くようにやっている制度なのに、それがむしろ高く入札され、国が買い入れたお金よりそうとう上がっていて、これは本来の目的に合致していない。これを見直してほしいということで、今、国にかけ合っています。
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