参院選の争点“消費税減税”「物価高対策にはなじまない」「財源確保せず議論に踏み込むのは危険」と小野寺五典・自民政調会長が語る根拠

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

拡大

——議論するということは、その結果によって減税になる可能性もゼロではない?

今の時点では、石破首相が国会の中でも財源の問題が必要ということを言っていますし、森山幹事長も財源を含めてしっかり議論しなければいけないというような話をしているので、かなり議論が必要だと思います。

もう1つ、消費税の税率を変えるときには、まず法律を通し、その後周知する期間があり、レジの設定変更や値札を変えるなど、事前の準備がかなり必要になります。今までの例を見ると、早くても1年半以上かかりますので、物価高対策をすぐにしなきゃいけないというときに、実は消費税はなじまないということかと思います。

——消費税率を上げるときには、実施するまで猶予を持ってというのはわかりますが、下げる場合には早くてもいいんじゃないか。周知期間はもっと短くてもいいということはないですか?

これは店の値札を変えればいいという話ではなく、今はシステムでいろいろなところにつながっていますので、そうとうの準備が必要だと説明を受けています。

会計の問題もありますし、いつから始めるかというときに、例えば来週からというと、「では今買わないほうがいいね」という買い渋りが起こる可能性があります。

こういう難しい問題は細部に宿るので、よく見ていかないといけない。ですから、今までかなり時間をかけていたということだと思いますし、今後、税のいろいろな議論、勉強会をする中で明らかになってくる話かと思います。

今の野党幹部も民主党政権では消費税増税を提案した

——消費税は標準税率が10%で軽減税率が8%。軽減税率は食料品を購入する際の負担を軽くする目的で導入されたと思うのですが、2%しか違わないのではあまり意味がないんじゃないか? 例えばヨーロッパのように軽減税率をもっと低くするという考えもあるのではないでしょうか。

これは税と社会保障の一体改革でかなり長年議論しています。ここにきて急に消費税がクローズアップされていますが、もともと高齢社会が進む日本において、安定的な社会保障財源が必要だということで、この議論がスタートしましたし、民主党政権のときにこの一体改革と消費税の引き上げが必要だというふうになったと聞いています。

そのときは野田首相(現・立憲民主党代表)、民主党の政調会長は前原(誠司、現・日本維新の会共同代表)さん、担当大臣は古川(元久、現・国民民主党代表代行)さんで、その当時もやはり社会保障が増えるので増税が必要だということで、党首討論の中で提案されました。

野党3党が消費税減税を言っているとすれば、それぞれの党の中核にいる方々は当時の民主党で税と社会保障の一体改革が必要だということで増税を訴えていました。そのとき以上に社会保障費が増えているときに、なぜこの議論を今するのか、財源をどうするのかということは、よく国会の中で議論されたほうがいいと思います。

次ページ「1年限定で軽減税率ゼロ」立憲民主党案をどう見る?
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事