サイコパスが「平気でウソをつける」のは、サイコパスでない人とのある「違い」のためだった
ところが、ほかの大半の犬は「モラル」という鎖につながれている。そのため、サイコパスのほうが断然有利なのだ。
悪事を働いて捕まったとしても、サイコパスは恥じたり、良心の呵責を覚えたりすることができない。後悔することもできないので、同じ状況に直面すれば同じ行動をとる。
いっぽう、私たちにはそのような考えが理解できない。他人を思いやる能力がもともと備わっているからだ。
悪行に手を染めることがあっても、私たちはこれから悪いことをすると意識したうえで一線を越える。ところが、サイコパスにはその「一線」が存在しない。ありとあらゆる手段を迷いなく選べるのだ。
だからサイコパスに「恥ずかしいと思え」とか「反省しなさい」とか言うのは、目が見えない人に「青色を見てほしい」と頼むようなものだ。
共感を覚えるための神経回路が形成されていないため、サイコパスは他人に配慮して行動できないだけでなく、間違いから学ぶこともできない。
というのも共感力とは生化学の産物であり、記憶力、衝動のコントロール、感情面での反応に必要不可欠だからだ。さらに匂い、音、色の微妙な違いを認識する能力など、脳の多くの機能にとっても欠かせない。
サイコパスから生き延びる方法
サイコパスは少なくとも20人に1人の割合で存在する。職場、さまざまな人間関係、近所のスポーツクラブ、家庭など、どこでもサイコパスに遭遇する可能性があるのだ。
そして率直なところ、職場においては「生き延びる」のが唯一の選択肢となる場合が多い。なぜなら、私たちには仕事が必要だからだ。
上司や同僚がサイコパスだからといって、あっさり辞めるわけにはいかない――少なくとも、すぐには。自分自身と自分のキャリアに及ぶ傷を最小限にする方法を駆使して、窮地を脱するしかない。
サイコパスは悪人だと考えたところで、なんの役にも立たない。そう考えると、彼らの思考にモラルを重ねて見ることになるからだ。だが、彼らの思考にはモラルそのものが存在しない。
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