人生100年時代「スキルと人間関係に投資」だけでは乗り切れない…企業や政府が行うべきこととは

「残りの人生についての考え方が変わった」という反響
ロンドン・ビジネススクールの同僚であるリンダ・グラットンと一緒に書いた著書『ライフ・シフト』が日本で出版されたのは、2016年のことだった。この本は、世界全体の売り上げが100万部を突破するなど、反響には目を見張るものがあった。
当時高まりつつあった新しい認識が追い風になったことは明らかだ。平均寿命の上昇をすべて悪いニュースと決めつけるべきではないという考え方が広がり始めていた時期だったのだ。私たちが個人と集団のレベルで適切に適応して調整をおこなえば、もっとポジティブな結果を生み出せる可能性がある。
そのように考えていたこともあり、大勢の人が好意的なメッセージを寄せてくれたことがとてもうれしかった。多くの読者は、この本が大好きだと言い、残りの人生についての考え方が変わったと語り、読後に人生がどのように変わったかを教えてくれた。
『ライフ・シフト』の大成功をきっかけに、私の人生も思いがけないシフト(大転換)を遂げた。それまでもマクロ経済学者として、高齢化の影響についてはつねに関心を払ってきた。そもそも、『ライフ・シフト』は、ロンドン・ビジネススクールで担当していた講義を土台にした本だった。しかし、私の研究業績の大半は、金利やインフレといったテーマに関わるものだった。
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