人生100年時代「スキルと人間関係に投資」だけでは乗り切れない…企業や政府が行うべきこととは
しかし、本書で論じるのはシステムだけではない。執筆を後押しした第3の認識は、人生が長くなるとともに、ひとりひとりが自分の未来のために準備する責任が高まっているということだった。『ライフ・シフト』では、長くなる職業人生に向けて準備し、スキルと人間関係に投資することの重要性を強調したが、それ以外にも重要なことは多い。
ロング・ライフをグッド・ライフにするためにとくに重要なのは、できるだけ長い間、健康を維持することだ。
増えた人生の時間をどのように使いたいのか
そこで、私たちが年齢を重ねると、健康にどのような変化が起きるのか、よい老い方ができる可能性を最大化するために、どのようなことに留意すべきなのかを詳しく論じる。
寿命が長くなることがお金の面でどのような意味をもつのか、長寿化に対応するために、長く働き続ける以外にどのようなことをするべきかも掘り下げる。
また、すべてのなかで最も重要な問いにも光を当てる。その問いとは、長く生きることの意義は究極的にはどのようなものなのか、寿命が延びたことにより増えた人生の時間をどのように使いたいのかという問いである。
最後に、本書の執筆を後押しした要素がもうひとつある。その第4の要素とは、人生が長くなればなるほど、長寿化をさまざまな学問分野に影響を及ぼす背景とみなすだけでは十分でなくなるという点だ。
それをひとつの学問分野と位置づけ、その枠組みのなかで私たちの行動と思考、社会の制度と政策について考える必要がある。
本書では、長寿化というテーマをひとつの独立した学問分野として確立することを目指した(いくつもの学問分野の知見を参考にすることは言うまでもないが)。
複数の問題がすべて、長寿化への適応というひとつの大きな問題と関係しているという認識をいだいてはじめて、変革の重要性を真に理解できる。長寿化というテーマが個人と企業と政府にとってもつ重要性が見えてくるのだ。
(後編につづく)
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