人生100年時代「スキルと人間関係に投資」だけでは乗り切れない…企業や政府が行うべきこととは
『ライフ・シフト』への反響はそれを一変させた。それまで、米ドルの今後に関する私の見解を知って生き方が変わった、と言ってきた人はひとりもいなかった。もし、長寿化に関する私の見解に触れて深く心を揺さぶられた人たちがいるのであれば、このテーマをもっと掘り下げるべきだと、私は思うようになったのだ。
未来のためにもっと投資すべき
私は、世界中のさまざまな人たちについて研究し、多様な人たちと言葉を交わし、幅広い分野の文献を読み、思考の幅を広げようと心に決めた。長寿化というテーマについてあらゆることを知りたいと考えたのだ。
仕事とキャリアをめぐる状況だけでなく、教育、健康、お金、心理学、生物学、哲学についても学ぶことを目指した。政府や企業がどのような取り組みをおこなっているのか──実際には、なにもおこなっていない場合が多かったのだが──を知り、これまでとは異なる未来を切り開こうとしている人たちや、長寿化がもたらす新しい機会を生かそうとしている人たちに話を聞く必要性を感じた。
ここにお届けする新著『ライフ・シフトの未来戦略』は、このような研究の成果である。執筆を後押ししたのは、以下の4つの認識だった。
第1の認識は、『ライフ・シフト』で変革の必要性を訴え、どのような未来が可能かについて人々の意識を高めることができたものの、まだとうてい十分ではない、ということだ。いくつかの面で、それは驚くようなことではない。本書で述べるように、いま私たちは大きな変化の時代に生きている。人類の歴史上はじめて、若い人たちが高齢になるまで生きることが当たり前になった。
私たちは、この新しい現実に目を覚ます必要がある。しかし、そのためには、多くの呼びかけや後押しが不可欠だ。
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