「高校生に大人気」「安いのに美味しい」…。食べ放題1539円~で300店舗を突破した「しゃぶ葉」。ブームの背景と"安くても儲かる"ワケ

✎ 1〜 ✎ 8 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 11
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

肉マイスターは、肉の知識や取り扱いの高いスキルを持つ「達人」の称号で、スライス作業の速さから、厚さ・盛り付けなど見た目のきれいさ、衛生管理の知識まで、厳しい基準をクリアしなければなることはできない。現在は全国に約100名が在籍しているそうだ。

スライスする様子
専用のスライサーで肉をスライスする肉マイスター(写真提供:すかいらーくホールディングス)

そうして、「肉マイスター」を育てて肉の品質を担保する一方で、効率化も進めている。たとえば、近年「ガスト」ほかグループ内で導入が進む配膳ロボットを導入。配膳はほぼロボットが行うため、人手不足対策になると同時に、人間の負担も軽減している。加えて、そこで生まれた余裕を客への目配りや教育に投資することで、より良い店づくりに努めているのだ。

スタッフのモチベーション維持にも工夫を凝らしている。土日や繁忙期に働いたスタッフには、「すかいらーくポイント」を付与。溜まったポイントはすかいらーくグループの店で飲食する際に使える。従業員からは「やる気が出る」と好評を博しているそうだ。

ネコロボ
配膳にやってきたネコロボ(筆者撮影)

ファンを商品開発に巻き込む仕組み

店舗運営の工夫に加えて、しゃぶ葉のユニークな点は、顧客との関係構築にもある。特に注目すべきは、2023年6月に発足した「おやさい学校 しゃぶしゃ部」というファンコミュニティの存在だ。

このコミュニティではメニュー開発への提案・提言が行われており、「だし開発」に特化したプロジェクトもスタートしている。フェアテーマに合わせた新だしのアイデア創出や、出てきたアイデアに投票したり、ランキング付けしたりをファンが担っているのだ。 

一部のメンバーは本部を訪れ、試作しただしを試食。意見したり、おすすめのアレンジなどを提案しているという。

試食会の様子
「おやさい学校 しゃぶしゃ部」出汁開発プロジェクト 試食会の様子(写真提供:すかいらーくホールディングス)

このように顧客を巻き込んだ商品開発は、ブランドへの帰属意識を高めるとともに、SNSを通じた自発的な情報拡散にもつながっている。

「お客様が多くのアレンジレシピをSNSに上げてくださり、新しい食べ方の発見・共有をしてくださっています。お客様に育てていただき、成長させていただいております」と手応えを語った。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事