「高校生に大人気」「安いのに美味しい」…。食べ放題1539円~で300店舗を突破した「しゃぶ葉」。ブームの背景と"安くても儲かる"ワケ

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こうした「自分で作る楽しさ」を提供することで、単に食事するだけでなく、「体験価値」を重視する若年層の嗜好にマッチ。大きな差別化につながっているのだ。

ワッフル
外はパリッと、中はふっくら焼き上がるワッフル。子連れ客から、とくに大きな人気を誇っている(写真提供:すかいらーくホールディングス)

若年層獲得戦略3.手頃な価格と時間で居場所を提供

とはいえ、いくら魅力的なカスタマイズと体験があっても、若年層の財布事情に合わなければ支持は得られない。そこで第3の戦略が重要になる。それが、料金と時間設定だ。

しゃぶ葉では、ランチで60分食べ放題1539円~、ディナーで100分食べ放題1979円~と、しゃぶしゃぶにしては手頃な価格設定がなされている(価格はいずれも税込み/都市部店舗では価格が異なる)。

また、平日限定で食べ放題は開店の10時または11時~16時まで(※14:40以降の入店の注文は80分制)時間無制限で食べられる。これが、時間に余裕のある学生にとって大きな魅力となっているそうだ。

「国産牛 しゃぶしゃぶ食べ放題コース」2899円
平日ランチメニューのひとつ、「国産牛 しゃぶしゃぶ食べ放題コース」3189円。肉は国産牛、牛みすじ、牛肉、筑波あじわいポーク、豚バラ肉、豚肩ロース、鶏肉が食べ放題。新鮮野菜、サラダに加えて、うどん、ラーメン、ご飯、カレー、デザートも(写真提供:すかいらーくホールディングス)

学生の多くは、食事後も店内に長く滞在し、友人と談笑しながらデザートを楽しんでいる。時間を区切らない戦略が、彼らの「居場所」としての価値を高め、リピート率向上につながっているわけだ。

この価格競争力の源泉は、もちろん、すかいらーくグループ約3100店のスケールメリットと調達力にある。

「すかいらーくグループは自社にバイヤーがおり、時期ごとに適した産地から目利きして食材を調達しています。それらを複数ブランドで共通化することで、他社にはできない仕入価格を実現しています」

「国産牛 しゃぶしゃぶ食べ放題コース」3499円
平日ディナーメニューのひとつ、「国産牛 しゃぶしゃぶ食べ放題コース」3849円。さきほどのランチメニュー「国産牛 しゃぶしゃぶ食べ放題コース」に加えて、つくね、握り寿司も食べ放題に(写真提供:すかいらーくホールディングス)

ところで、いくら価格が手頃でも、しゃぶしゃぶの生命線である肉のおいしさが伴わなければ客は離れていくものだ。その品質と安全性については、独自の取り組みが行われている。

鮮度を保つため、塊で仕入れた肉を店舗でスライスして提供する方式を採用しており、これを「肉マイスター」と呼ばれる社内資格制度が支えているのだ。

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