重要なのは、「ファミリーキャリアの形は、状況に合わせて変化させるもの」であるということです。
どちらかが一時的にキャリアのペースを落とすとしても、それを永続的な状態と決めつけず、都度話し合いを行うことが必要です。
「夫は私が働くことに反対で、家事育児を完璧にやるなら働いてもいいと言われています」や、「妻には仕事ばっかりしないで、もっと家事育児の時間を増やすよう言われているので転職を検討しているのですが、年収は落とさないようにと釘を刺されています」というご相談があります。
残念ながらこれはファミリーキャリアから程遠い状態です。
そのようなご相談に対し、私は「家族はチーム」であると伝え、「チームとしてどういう状態が望ましいのか?」について話し合うことをお勧めしています。
片方からの一方的な要求や、現実的に難しい要求を受け入れていると、いつか必ず大きな歪みになります。並行型を貫くなら、どのように家庭と仕事を両立させるかを話し合わないと、我が家のように疲弊して、突然退職を選択するということになってしまうかもしれません。
お互いが納得のいく形でキャリアと家庭の役割分担を決めていれば、「どちらかが犠牲になっている」という気持ちは軽減されるはずです。
一方で、ファミリーキャリアの形がどのようなものであれ、仕事や育児、家事に費やす時間の配分は夫婦で異なる場合が多いでしょう。ここで重要なのは、「あくまで役割分担であり、どちらが上でどちらが下ということではない」という共通認識を持つことです。
また、不満がうまれやすいのは、「自分の意思で自由に過ごせる時間の長さの差」です。
時短勤務で、仕事をしている時間がフルタイムより短かったとしても、家に帰ってから家事育児する時間をトータルすると自由時間が1日1時間もない妻と、仕事時間はフルタイムで妻よりも長いけど、その後ジムに行ったり、英会話に行ったりしてから帰ってきて、家事育児をせず、自由時間を2時間確保している夫の場合では、夫に対して妻の不満はたまっていきます。逆もまた然りです。
「家族として何を大事にするか」についてしっかりと話し合っていないと、徐々に不満が積もっていきます。「こうあるべき」という価値観や、「こうだろう」という勝手な解釈で家庭を運営しようとすると、チームとしての機能がうまく回らなくなってしまいます。
「キャリアアクセル」を踏むタイミング
ライフステージの変化によってキャリアのブレーキを踏まざる得ないタイミングがきても、またアクセルを踏めるタイミングはやってきます。
私は上の子が小学校に上がる1年前と、下の子がいわゆる「小1の壁」を乗り越えたタイミングの2回、キャリアアクセルを再び踏む決断をしました。
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