古田:瞬間視は、瞬間的にものを見る能力のことで、検査では0.1秒とか0.01秒というごく短い時間に、画面に8桁の数字がパッと映し出され、それを何桁まで見えるかで測定します。
動体視力の成績は下のほうでしたが、瞬間視はトップ。その研究所によると、どうやら過去最速のスピードで全問正解できたと聞きました。どうして瞬間視が得意だったのか、自分でもわからないんですよね。
窪田:すごい能力ですね。瞬間視は、数字を写真のようにパシャっと撮れる能力で、視力ではなく脳の働きなんです。目はあくまでもカメラの役割で、それをプロセッシングするのが視覚野という脳の機能。つまり、古田さんは目から入ってきた情報を、効率よく処理できる優れた脳を持っているということです。
バッターボックスからピッチャーも野村監督も見えていた
古田:もう一つ、タッチパネルを使って視野の広さを調べる検査も得意でしたね。
窪田:ハンドアイコーディネーションといって、視覚的な情報をもとに手や指の動きを正確に制御する能力があるのですが、古田さんの場合、おそらくそれも高かったのだと思います。
キャッチャーとして、どこにどの選手がいて、どんな動きをしているのか、パッと見てすぐに反応できる能力はすごく重要ですよね。その能力が、野球で発揮されていたのではないでしょうか。
古田:たしかに、試合中はピッチャーを見ながら、ベンチで野村監督が怒っているのもわかっていましたからね(笑)。
窪田:すごい、そこまで見えていたんですね(笑)。
古田:よくキャッチャーには洞察力や観察力が必要と言われるのですが、人のことをよく観察したり、隣の人がしゃべっていることまで気になったりするのは、キャッチャーならではの癖だなと思います。
窪田:なるほど。瞬間視は持って生まれたものでしょうが、洞察力や観察力はキャッチャーとして磨かれていったものなんですね。
ところで、今はどんどんAIが進化していますが、野球界にも何か影響はありますか?