
視力を高めることが国防強化につながる? 窪田氏〈左〉(撮影:梅谷 秀司)、神保氏〈右〉(写真:本人提供)
WHO(世界保健機関)によると「2050年には世界人口の約半数が近視になる」と予測され、世界ではさまざまな近視対策が取られている。特に近視の子どもは年々増加しており、日本でも小学生の半数以上が近視である。今や国をあげて取り組むべき課題といわれる近視だが、日本ではまだその重要性がほとんど知られていない。
今回は、「近視は予防に取り組むべきリスクの高い疾患」だと啓蒙活動をする眼科医の窪田良氏と、アジア太平洋の安全保障に詳しい国際政治学者の神保謙氏による対談を行った。第1回は、近眼と軍事戦略の意外な関係について話し合う。
「近視になるのは仕方がない」の誤解
窪田:昨年9月、科学界の最高権威である全米科学アカデミーから、「近視は疾患として認定し、国家的に対策を打っていかなければならない」とする提言がありました。
今や近視は世界で認識された課題ですが、日本ではほとんど話題にされていません。神保先生は国際安全保障の専門家ですが、こうした目の問題についてはどう思われますか?
神保:実は私も窪田先生が書かれた『近視は病気です』を読んで、初めて知ったことがたくさんありました。私自身、目の問題を抱えていて、度数はマイナス6.0の強度近視で老眼も入ってきています。
メガネをかけたり外したりが面倒だったので多焦点コンタクトレンズにしたのですが、それも正しい度数で矯正していかないと文字が読みづらくて……。今、50歳なのですが、今後どうなるのだろうと不安ですね。学者で本が読めないなんて、致命的ですから。
トピックボードAD
有料会員限定記事
キャリア・教育の人気記事