窪田:昔に比べると少し規制が緩くなっていて、最近では会社によってレーシックやコンタクトが認められているところもあるようです。ただ、視力の良さが重要なことに変わりはありません。
神保:パイロット以外でも、例えば自衛官がメガネやコンタクトだと不利です。極限状態でコンタクトを替えたりできませんから。
窪田:できないでしょうね。メガネやコンタクトレンズで矯正はできますが、それでも裸眼で見るほどのクオリティの高い視力は得られていません。というのも、メガネやコンタクトレンズを使うと「収差」といって、わずかなゆがみやズレが生じるので、生きるか死ぬかといった危険な現場で活動しなければならないような人たちにとっては、やはり裸眼の視力は最重要だと思います。
国家レベルの近視対策が必要
神保:そう考えると、裸眼の視力が良い人がどんどん少なくなっている状況は、安全保障の面からも心配ですね。
窪田:同感です。だからこそ、近視対策には国家レベルで取り組んでいく必要があるんじゃないかと。次回は、実際に国家プロジェクトとして近視対策を行っている中国の実情について、神保先生のご専門である安全保障の側面からも見ていきたいと思います。
(構成:安藤梢)
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窪田 良
医師、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO
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くぼた りょう / Ryo Kubota
慶應義塾大学医学部卒業。慶應大医学部客員教授、米NASA HRP研究代表者、米シンクタンクNBR理事などを歴任。虎の門病院勤務を経て米ワシントン大学助教授。2002年創薬ベンチャー・アキュセラを創業。2016年窪田製薬ホールディングスを設立し、本社を日本に移転。アキュセラを完全子会社とし、東証マザーズに再上場。「エミクススタト塩酸塩」においてスターガルト病および糖尿病網膜症への適応を目指し、米FDAからの研究費を獲得し研究開発を進めているほか、在宅医療モニタリングデバイスや、ウェアラブル近視デバイスの研究開発を行っている。
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じんぼ けん / Ken Jimbo
慶応義塾大学総合政策学部教授、公益財団法人国際文化会館常務理事、アジア・パシフィック・イニシアティブ(API) プレジデント。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了(政策・メディア博士)。専門は国際政治学、安全保障論、アジア太平洋の安全保障、日本の外交・防衛政策。タマサート大学(タイ)で客員教授、國立政治大学(台湾)で客員准教授、南洋工科大学ラジャラトナム国際研究院(シンガポール)客員研究員を歴任。政府関係の役職として、防衛省参与(2020年)、国家安全保障局顧問(2018~2020年)、外務省政策評価アドバイザリーグループ委員などを歴任。主な著書に『検証安倍政権:保守とリアリズムの政治』(共著、中央公論新社、2022年)など多数。
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