世界では「近視は病気だ」と認識されつつある 日本で目が悪いことが軽視されすぎている理由

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近視
「近視は治療が必要な『病気』である」という認識が、日本ではまだまだ浸透していません(写真:サクちゃん/PIXTA)
今、近視が世界的に問題になっている。
WHO(世界保健機関)は、「2050年には世界人口の約半数が近視になる」という予測をしている。
日米で30年以上眼科研究を続ける眼科医であり、近視撲滅を目指すクボタグラスの発明者である窪田良氏は著書『近視は病気です』(東洋経済新報社刊)で、「日本ではこうしたことがあまり知られていない」と警鐘を鳴らしている。
窪田氏によると、日本でもう一つ理解されていないことがあるという。それは「近視は治療が必要な『病気』である」という認識が、世界的に高まってきている事実だという。

「異常」ともいっていい変化

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WHOの予測は大変ショッキングです。2050年には世界でおよそ48億人が近視になるという予測をしているわけですが、これは、糖尿病や肥満よりも多い数です。そしてこれらの病気の比ではない勢いで、近視人口は増えています。

今からおよそ10年前、2010年の近視人口は20億人弱と、世界人口の約3割でした。通常、遺伝子の変化を必要とする生物の進化は、10万年から100万年単位で起こってきました。それが、一気に2割も増えてしまうのは異常といってもいい変化です。

この爆発的増加の主体が、子どもの近視の増加です。日本でも2023年秋に文部科学省が公開したデータで、資料が1.0未満の子どもの割合が過去最多となったことがわかり、大きな物議を醸しています。

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