世界では「近視は病気だ」と認識されつつある 日本で目が悪いことが軽視されすぎている理由

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私は日本においては、「近視は遺伝だからしかたがない」「近視はメガネをかければいいので気にしなくていい」といったように、近視が単に「見えづらいという現象」であるかのように軽く見られ、十分な対策が取られてこなかったように思います。

実はさきの文科省調査では、虫歯についての結果も出ています。それによると、子どもの虫歯の割合は過去最低となりました。これは、虫歯は良くないものだという認識が広まり、早いうちからしっかりと予防されるようになっているためでしょう。

一方、近視はこれまで放置されてきた、とは言いすぎでしょうか。

少なくとも私から言わせると、「近視は良くないものである」という認識が日本ではまだまだ浸透していません。

しかし、近視は病気です。

近視が抱える将来的な「リスク」

近視は病気なのかについては、実は、専門家の間でもまだ議論の最中です。国によっても、学会によっても立場がさまざまで、コンセンサスがまだ得られていません。

非常に程度の強い近視は、すでに「病的近視」という言い方が定着しています。一方で、軽い近視はノーマルバリエーション――いわば鼻が高い、低いと同じ“個人差”であるという考え方が根強くあるのです。

ただ私は、近視は病気であるという立場をとります。鼻の高さや背の高さは、「何cmだったら正しい」というような、絶対的な正常値というものはありません。しかし目は、少なくとも近視でも遠視でもない「正視(せいし)」という正常な状態があります。このことから、単なる個人差では片付けられないと考えるからです。

たしかに、軽い近視はそこまで害はありません。ただ、近視というものは、将来どこまで進行するかわかりません。そうであるかぎり、どんな軽い近視でも進行抑制、つまり近視の治療に努めるべきでしょう。

症状が軽くても、治療するということは、病気であるということです。

そしてこれは最も大事なことですが、近視は、将来的に失明に至る可能性のある病気を引き起こすリスクを増やすことがわかっています。このことからも、近視は病気であるといえるのです。

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