台湾で10年ほど前から、近視について画期的、そして先進的な取り組みが国をあげて進められているのをご存じだろうか。
小学生を対象に、学校で「1日2時間」程度、屋外活動することを義務づけているのだ。一度に2時間ではなく、休み時間になると外遊びをさせたり、スポーツをさせたりして、合計2時間外で過ごさせるというカリキュラムが組まれている。
近視を発症する子どもが出始める6~12歳くらいの時期にできるだけ外で活動すると、近視になることを防いだり、近視が進むのを遅らせたりすることが、大規模臨床試験によってわかってきたのだ。
日米で30年以上眼科研究を続ける眼科医であり、近視撲滅を目指すクボタグラスの発明者である窪田良氏も、著書『近視は病気です』で、日本でもぜひ「外遊び」を導入すべきだという。
「屋外活動」は最良の近視予防法だ
近視は世界的な課題ですが、特にアジア人の近視は多く、20歳以下の8割くらいが近視になっています。日本でも、似たような数値です。台湾、韓国、香港、シンガポールでも、20歳以下の9割以上が近視です。
なぜアジア人に近視が多いかは諸説ありますが、一つには近視になりやすい体質である可能性が指摘されています。加えて、最近急激に増えてきているところを見ると、教育レベルを高めようとするあまり、幼い頃から家や塾で過剰に勉強させていることも影響しているのではないかといわれています。
台湾でも、多くの子どもが近視を抱えているといわれています。勉強はもちろん大事かもしれない。しかし、子どもの体を考えたら将来、大変なことになる――そうした強い危機感から、国ぐるみで「2時間の外遊び」カリキュラム導入に舵を切ったのでしょう。
すでに効果は証明されつつあります。実際に、子どもたちの近視の率が減り始めているのです。これは世界で初めての現象であり、大いに注目されています。
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