子どもの近視を抑制できる「外遊び」の一石二鳥 「義務化」した台湾では子どもの近視率が低下 

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本来、目の成長期には、近くを見る「近見作業」を避けるのはもちろんですが、原始時代のように一日中外にいて、無限遠――何の障害物もなく少なくとも5m以上先を見るのが理想です。ただ、日本にかぎらず先進国の現代の生活においては非現実的です。その点、1日2時間程度の屋外活動なら、不可能ではないでしょう。

外遊びは、晴れた日にしなくても、曇りの日でも、日陰でもかまいません。

屋外にいる時間を確保することが大切

目安としては1000ルクス程度の明るさが推奨されています。1000ルクスというと、だいたい晴れた日の窓際と曇りの日の窓際の中間くらいに相当します。晴れた日の屋外の日なただと10万ルクスありますが、そこまで明るくなくても構わないのです。むしろ、あまりに長時間日なたにいると、紫外線の悪影響や、夏場なら熱中症の心配も出てきます。

日陰くらいの明るさでいいなら、室内の窓際で過ごせばいいのではないかと思うかもしれませんが、それは違います。室内というのは想像以上に暗く、晴れた日の窓際なら2500ルクス程度ありますが、曇りだと800ルクスくらいしかありません。部屋の中のほうだと300ルクス程度しかないこともあります。

では晴れた日に窓際にいればいいかというとそうではありません。自然光が窓ガラスというフィルターにかけられ波長が変わってしまっています。

ですから、あくまで屋外にいる時間を確保することが、近視の予防には非常に大切です。

ただし、外にいてもスマホを見てしまえば、近見作業していることになります。屋外にいる効果が半減してしまう可能性があるので、気をつけてください。

ところで、なぜ強い光の下だと近視になりにくいのでしょうか。実はまだ、分子的なメカニズムは完全にはわかっていません。

動物実験では、強い光を当てると網膜内のドーパミンが増えることがわかっています。おそらく、このドーパミンの作用が重要な役割の一部を演じていると推測されています。

窪田 良 医師、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO

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くぼた りょう / Ryo Kubota

慶應義塾大学医学部卒業。慶應大医学部客員教授、米NASA HRP研究代表者、米シンクタンクNBR理事などを歴任。虎の門病院勤務を経て米ワシントン大学助教授。2002年創薬ベンチャー・アキュセラを創業。2016年窪田製薬ホールディングスを設立し、本社を日本に移転。アキュセラを完全子会社とし、東証マザーズに再上場。「エミクススタト塩酸塩」においてスターガルト病および糖尿病網膜症への適応を目指し、米FDAからの研究費を獲得し研究開発を進めているほか、在宅医療モニタリングデバイスや、ウェアラブル近視デバイスの研究開発を行っている。

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