窪田:人は外部情報の9割を視覚から得ているので、目が見えづらくなることはそれだけ支障も大きくなります。
神保:私が小さい頃は、目を酷使してメガネをかけることが勤勉である“勲章”みたいな雰囲気もあって……。
窪田:たしかに以前は、「メガネをかけている=勉強ができる子」のように、近視がポジティブにとられる文化がありましたよね。
神保:でも、今の子どもたちの近視率を聞いてびっくりしました。ものすごく増えているんですね。
窪田:そうなんです。小中学生の半数以上が近視です。

神保:それを聞くと、勉強していれば近視になるのが当たり前のように思っていたのが、間違いだったなと。改めて危機感を感じました。子どもたちの近視を防ぐことは、非常に重要な課題だと思います。
「テレビを近くで見ない」より効果がある近視予防法
窪田:近視になると、将来的には白内障や網膜剥離といった病気になりやすくなってしまう。失明につながることもあるため、できるだけ予防しなければならない疾患なんです。

神保:そもそも、先生の本を読むまで近視が予防できることも知らなかったです。
窪田:そういう方が多いと思います。よく「テレビを近くで見てはいけない」「暗いところで本を読んではいけない」と注意される親御さんは多いと思いますが、それだけでは近視の抑制にはつながりません。もちろん目のためにはどちらも大事ですが、近視にならないためには1日2時間の屋外活動が一番効果的です。

神保:しかも、直射日光を浴びる必要はなくて、日陰でも効果があるんですよね。
窪田:そうです。室内でガラス越しの光を浴びても効果はありませんが、屋外であれば日陰でも十分です。目の成長に関わる6~12歳くらいのうちに1日2時間以上を外で過ごすようにすれば、その後、家で何時間、勉強やゲームをしていても近視になる確率を下げることができます。