お掃除ロボットが難敵だった「ペットのウンチ」を避けられるようになったワケ AI学習による技術進化はここまでスゴかった! 

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このように、仮想環境を活用することで、現実世界で収集するのが難しいデータを効率的に取得することが可能となります。シミュレーションで得た知識を現実世界に応用することで、開発コストや時間を大幅に削減できるのです。

もちろん、このような技術にはまだ課題がある場合もあります。特に、多くの技術者が悩まされているのは、シミュレーションする仮想世界と現実世界とのギャップの問題です。

Sim2Real技術はこのギャップを埋めることを目指していますが、シミュレーションで現実世界の摩擦や接触状況などを完全に再現することは難しく、また、ある環境が再現できても他の環境への展開性が低いなどの問題が起こることもあり、今後、さらなる研究開発がなされていくことになるでしょう。

エヌビディアなども「Cosmos」と呼ばれるシミュレーション環境の開発を精力的に進めており、世界的にも誰が優れた開発プラットフォームを開発するかという競争が激しくなっています。

ロボットが職人技を学習できる?

AI進化によるロボットの開発プロセスのトレンドは、多くの可能性を感じさせます。

従来、職人技として継承されていたスキルが「模倣学習」によりデジタル化、さらにはロボットが真似できるようになるでしょう。

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また、何十年、何世代という鍛錬を積み重ねることで習得されてきたスキルが「強化学習」により仮想空間のなかで高速に体得できたり、人間の域を超えたロボットならではの技術として新たに生まれたりすることも十分に考えられるのです。

このような技術により、私たちの日常生活や産業構造は大きく変わるでしょう。それは、人間とロボットとの関係性も変化させうるものであり、それぞれの役割や協働方法について再考する時期を意味することになるかもしれません。

「共進化」とも呼ばれるように技術の進化とともに、私たち自身も変わり続けなければなりません。

新しい技術を受け入れ、それをどのように活用するかを考えることで「AI×ロボット」、そして、私たち人間の可能性を最大限に引き出す努力を続けていきましょう。

安藤 健 ロボットよりヒトが好きなロボット開発者

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あんどう たけし / Takeshi Ando

早稲田大学理工学部、大阪大学医学部での教員を経て、パナソニック(現・パナソニックホールディングス株式会社)入社。ロボットの要素技術開発から事業化までの責任者のほか、グループ全体の戦略構築も行っている。
大阪工業大学客員教授など複数の大学での教育活動、日本機械学会・日本ロボット学会などの学会活動、経済産業省各種委員・ロボット革命イニシアティブ協議会WG2副主査など業界団体の委員も積極的に実施。最近では、日本科学未来館ロボット常設展示の監修を務める。文部科学大臣表彰(若手科学者賞)、ロボット大賞(経済産業大臣賞)、Forbes JAPAN NEXT 100、GOOD DESIGN AWARDなど国内外での受賞多数。

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