——大切な場所で、どんな自分でありたいか。
そんな場所が今はないとおっしゃる方も、この先、辿り着きたい場所でどんな服を着てみたいかをイメージしてみる。創作や芸術が好きな方なら、自分の展示会じゃなくても、憧れの陶芸家に会う時に、どんな装いで臨みたいかを考えるのもいいですし。今の自分の夢や人生観を深掘りしながら、ファッションについて考えていきます。
過去のトラウマがファッションに表れることも
——楽しそうです。もうお一人、印象的だったのが、書籍に登場されていた50代の女性。Beforeでは、ボーダーのカットソーにベレー帽という、80年代に大流行したパリのリセエンヌかオリーブ少女(雑誌『Olive』の提案するファッションに憧れていた少女たちの呼称)のような装いですが、Afterでは今っぽく鮮やかに変身されています。

年齢を重ねた女性の魅力もありますから、若作りする必要はないけど、時代に合わせてアップデートしていくことは必要ですよね。出会った当時の彼女は、まさに一世を風靡したオリーブ少女のままでしたが、雑誌『Olive』はすでに廃刊しています。それでも、30年も変わらずにいるのは正解でしょうか。そんな風にご本人にもお伝えしました。
——結構、はっきりと伝えられるんですね。
ご自身の好きなテイストは大切にしていただきたいですが、時代や社会の変化には順応したほうが楽しいし、美しいですよね。私たちは過去ではなく、今この時代を生きていますから。
ただ、彼女の場合、さらに人生を深掘って聞いてみたら、赤い服や丸眼鏡を選び続けていたのには、深い理由もありました。一時期、体調を崩されていたらしく、「元気に見せたい」という思いが強くあって赤い服を選んでいたり、「自分を表現するのが怖い」という心理から眼鏡を選んでいたりしたそうなんです。
——その時々の心理状態がファッションに表れていた、と。
そうです。でも、今は元気になったんだから、過去の思考のクセを手放して、肩の力を抜いて、今の自分に合う好きなものを選んでもいいのでは、と。「眼鏡をはずして、顔を出したほうがめっちゃ可愛いよ。コンタクトを試してみたら?」などと伝えているうちに、彼女自身の内面も少しづつ変化していきました。
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