「子どもが3人いるから大学の学費は必要なし」は大間違い!4月から始まる《大学無償化》の【注意点4つ】をFPが徹底解説
注意点②無償化には上限額がある
「大学無償化」と言われるが、国公立に関しては家計負担はおおむねゼロになるものの、私立に関してはその限りではない。
私立大学に進学する場合の減免上限額は
• 授業料:年間70万円
4年間私立大学に通う場合には、入学金26万円と4年分の授業料280万円を合わせて、最大306万円が減免される。なお、この金額は学生本人に直接給付されるのではなく、大学側が授業料や入学金の減免で対応する仕組みとなっていて、大学の定める授業料や入学金がこの上限額を超えた場合には、親が差額を大学に納めることになる。
文部科学省によると、私立大学の平均的な学費は以下の通りである。
授業料 | 入学料 | 施設設備費 | |
---|---|---|---|
文系学部 | 82万7135円 | 22万3867円 | 14万3838円 |
理系学部 | 116万2738円 | 23万4756円 | 13万2956円 |
新制度では、入学料の減免上限が26万円のため、入学料はほぼ賄えると考えられる。しかし、授業料と施設設備費は毎年かかり、この合計は文系学部であっても100万円前後になる。授業料の減免上限が70万円であるため、差額は家計で負担する必要がある。(参照:文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」)
新制度の対象は大学に限らず、短期大学、高等専門学校(4・5年生)、専門学校も含まれる。
ただ、すべての学校が対象になるわけではない。対象校は、「修学支援新制度の確認大学等の一覧(対象機関リスト)」に掲載されている。2025年3月21日時点で対象校は3131校。日本の高等教育機関のうち8割程度が対象となっている計算だ。
対象校は都度更新されているため、大学等へ進学する年が近づいたら改めて確認しておきたい。
新制度を利用する際には、「学業要件」があることを忘れてはならない。入学時に制度の利用が認められた後も、出席率や単位修得率などに関する基準が設けられており、基準を満たさなければ警告を受けたり、最悪の場合支援が打ち切られたりする可能性がある。
成績不振による”警告”の基準とは?
以下のいずれかに該当すると、「警告」となる。
• 単位修得率が7割以下
• GPA(成績評価)が学部内で下位4分の1に入る
警告1回目であれば支援は継続されるが、警告要件に2回連続で該当すれば支援打ち切りとなる(2回目の警告がGPA用件のみの場合は打ち切りではなく次の判定まで支給停止)。さらに、修業年限内に卒業できないことが確定した場合や出席率が6割以下の場合などは警告を経ず支援打ち切りとなる(やむを得ない事情がある場合は考慮される)。
「日本の大学は入るのは難しいが、卒業は簡単」と言われていたのは昔のことで、近年の大学は出席やレポート提出もシステムによって管理されている。文系理系にかかわらず、入学できたら安心ではないことにはくれぐれも気を付けたい。
大学受験を前にした高校生や保護者にとっては、時として大学に合格することがゴールになりやすい。そのため、
- 偏差値だけで学部を選ぶ
- 推薦枠があるからという理由だけで進学先を決める
といった選択をしてしまいがちだ。
しかし、入学後に専攻内容に興味を持てなければ、成績要件であるGPAが下がり、支援が打ち切られかねない。進学先を選ぶ際は、本人が本当に学びたい分野かどうかを慎重に考えることが重要だ。また、支援を継続するためには、入学後もしっかりと学び続ける姿勢が不可欠であることを、親子でしっかり認識しておきたい。
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