大学授業料「無償化」の劇的効果と噴出する不満 授業料値上げはどれほど親たちを苦しめてきたか
「異次元の少子化対策」の一環として、政府は2025年度から、3人以上の子どもがいる世帯の子どもの大学授業料を無償化する方針であることが明らかになりました。
大学学費の支援制度については来年度、授業料減免や給付型奨学金の対象を現在の低所得層から多子世帯や理工農系の学生のいる中間層(世帯年収約600万円程度)まで広げることが決まっていますが、今回の案は所得制限を設けない見通しです。
対象になるのは3人以上の子どもがいる世帯の子どもで、大学のほか短期大学や高等専門学校などの学生も含まれます。授業料に加え、入学金も無償化の対象となる方向です。
高騰してきた大学の授業料
大学の授業料は、子どもの教育費の中で特に家計の負担が大きい費用です。日本政策金融公庫の調査によると、入学金や授業料、通学の交通費や教材費などにかかる費用の総額は国公立大学の場合4年間で平均481万円、私立文系で平均690万円、理系で822万円です。
これは幼稚園から高校までの15年間でかかる教育費(すべて公立に通った場合574万円)に匹敵、または上回る金額です。高校までは月々の家計収支から子どもの学費をまかなえた家庭でも、大学に進学すると途端に赤字に転落してしまうケースも少なくありません。それだけ、大学の学費は家計の負担になりえます(※)。
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