「1日1万歩」にこだわらなくてOK! 脳や血圧の健康を保つ、名医が勧める「インターバル速歩」のコツ

✎ 1 ✎ 2
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

会話ができないほど息が上がりハアハアする、場合によっては吐き気までする、といった運動は最大体力の100%に近い強度といえるでしょう。そこまでの運動は必要ありませんが、体力向上には「ややきつい」と感じる運動が非常に効果的なのです。

では、「体力」とは何だと思いますか? 特に中高年者で重要なのが、筋肉の持久力(ここでは単に筋力と呼ぶ)で、「1分間に体内でどれくらい酸素が消費できるか」が評価の基準になります。

マラソンなど持久性競技をするオリンピック選手の場合、1分間で体重kgあたり約70~80mLの酸素を消費するといわれている一方、要介護状態の方は10mL以下です。これは極端な例ですが、体力と酸素消費量の関係について、イメージしやすいでしょう。

このように運動時には、その強度に合わせて酸素を利用して素早くエネルギーを生み出す必要があるのですが、その能力の指標となるのが「筋力」です。つまり、筋力が高い人は体力があり、低い人は体力がないといえるのです。

みなさんは、階段を駆け上がったり走ったりすると、心臓がバクバクして息切れを起こしませんか。それは筋肉が運動強度に応じた酸素を利用できず、それを心臓や肺が補おうとして起こる現象です。逆に、筋力のある人は、息切れせず上り切れるはず。

10歳年を取れば筋力は5~10%低下

残念ながら、筋力は20代をピークに、30歳を過ぎると徐々に減少。10歳年を取るごとに5~10%の割合で低下するといわれています。

この主な原因は、サルコペニアと呼ばれる加齢性の筋肉量の減少によるもので、何も対策を講じないでおくと、はてはロコモティブシンドローム(運動器の障害)に陥り、日常生活に支障をきたす場合があるのです。

問題はそれだけではありません。人間は細胞内にあるミトコンドリアという小器官で、酸素をエネルギーに変えて活動しています。いい換えると、酸素が足りなければエネルギーが生まれないということ。

筋力が衰えると、ミトコンドリアの機能低下が起こり、酸素の不完全燃焼によって活性酸素が過剰に発生して、細胞・組織を傷つけます。それを修復しようと、炎症性サイトカインという物質が分泌され、「慢性炎症」が引き起こされるのです。

この炎症が、脂肪細胞で過剰に起きると糖尿病に、血管で起きると動脈硬化に。脳で起きると認知症やうつ病の原因になります。そしてこれらの病気がフレイル(加齢により心身が衰えた状態)を加速させ寝たきりの原因にも……。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事