以前にも書いたが、現代の日本は、教育熱心な東アジア諸国の中で、とびぬけて教育不熱心な国である。中国や韓国などでは、子供の教育にすべてをかける。コストなどという発想はなく、とにかくよい教育を子供に、ということがすべてだ。それが異常すぎるということで、中国では塾が禁止されたのだが、それも教育熱心さゆえの結果である。だから、中国も韓国も、経済成長を達成し、社会としても発展してきたのである。
無償化で、教育がますます衰退する「4つの理由」
教育無償化の結果、日本の教育はますます衰退していくだろう。第1に、上述の教育軽視の価値観が社会により定着するから。第2に、無償化した分、質への関心は低下すること。教育支出が公的支出、家計の支出の合計で減少すること。
第3に、教育の質が無償化により低下していくのに、教育への政策投資は実施済みということになり、政治的関心、重要性が薄れていくこと。第4に、無償化した分、一部の教育熱心な家庭が出費を惜しまず投資するため、教育格差は拡大することになること。「教育敗戦国確定」である。
どうすればいいか?簡単だ。無償化をやめればいい。そして、最低でも高校授業料の無償化に使う予定と言われる約5000億円の予算を、公的教育投資に回すのである。
教員の給与増加。教員育成の高度化への投資。そして、教員でない、学校スタッフの増員。教員の成り手を大幅に増やすことは難しいが、文部科学省対応、一般的な事務対応、広報、顧客対応(およびモンスターペアレンツ対応)、課外活動補助、精神的カウンセリング、いじめ防止対策、生徒たちに対する学校関係者以外の相談相手、居場所の確保。やるべきことはいくらでもある。
5000億円を、教育を無料にしてバラまいている場合ではない。その分、投資を強化して、教育の質を上げることであり、授業料をいくら払ってもいい、と思えるぐらいの教育を実現することである。
では低所得者は? 貧困家庭には、これこそ最高の教育政策である。塾に行かなくとも、金持ちが使うような高級学童に行かなくとも、学校で、夕方7時まで、毎日面倒を見てくれる。塾の代わりも、課外スポーツ活動、文化活動をやってくれれば、安心して、共働きもできるし、親が1人の家庭も、稼ぎに精を出すことができる。
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