「能力主義社会は幻想」と行動遺伝学者が言う背景 無料塾は教育格差にどう立ち向かうべきか?<後編>

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能力主義は、遺伝的不平等がそのまま社会的不平等になってしまう。では、どうしたらいいのでしょうか(写真:露木聡子)
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学習支援ボランティアの様子を『ルポ 無料塾』として上梓した教育ジャーナリストのおおたとしまささんと、『教育は遺伝に勝てるか?』などの著書がある行動遺伝学者の安藤寿康さんが、教育格差の解決策について語り合う<後編>。
(前編:『「学力差の要因は遺伝が50%」教育格差の解決策』

公正な競争にもとづく能力主義はあり得ない

おおた:「生まれ」によって学力・学歴が変わってしまうのはアンフェアだという考えがある一方で、公正な競争の結果できた達成度の差によって地位や収入が変わるのは当然だという考え方があります。いわゆる能力主義(業績主義、メリトクラシー)です。

でも知能や学力の約半分が遺伝で説明できてしまうという事実を前にしたとき、そもそも能力主義は成り立つのでしょうか。

安藤:学力のような特定の能力の高いひとほど有利な立場に立つ権利があるとする能力主義は、遺伝的不平等がそのまま社会的不平等になるという意味で、成立させてはならないことだと考えています。

おおた:行動遺伝学の立場からすれば、公正な競争にもとづく能力主義という概念自体が幻想であると。そんなことを追い求めても出口が見つかるはずがないと。

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