「外国人材をどう定着させるか」コメダ珈琲店の秘訣 離職率高い飲食業界の問題を「現地採用・教育」で解消へ

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海外での採用でも同様に、「お金」目的の人材は定着が難しく、とくに地方で採用した場合、「都市志向」の人材は定着せずに都市部へ転職してしまう傾向があります。

この点について、沖縄県内でコメダ珈琲店を展開する株式会社琉球コメダがヤンゴンで採用を行った際の工夫が印象的でした。

「琉球コメダ」の採用面での工夫

採用面接の前に、沖縄の風土や店舗の配置、お客様の特徴とともに、公共交通機関が不便であることなどのマイナス面も詳しく説明し、そのうえで面接を実施していました。ミャンマーの人々は日本の地方事情をよく知らないことが多いため、こうした説明が重要になります。

「琉球コメダ」で面接前の事前説明を聞く応募者たち(撮影・西垣充)

また、単に「日本で働きたい人材」ではなく、コメダ珈琲店で働きたい理由や将来の展望を重視し、面接前から適切な人材を選別することも重要なポイントでした。

全国の飲食店では、慢性的な人手不足が続いています。近年、外国人が飲食店で働くことは一般的になりつつありますが、現場からは「採用したものの、すぐに転職してしまった」という声も少なくありません。

「人事」に絶対的な正解はないと言われますが、とくに外国人採用においては経験値が高いほど定着率が上がる傾向がみられます。採用後のフォローや育成の仕組みを強化し、継続的に改善を重ねることが、長期的な定着につながります。

「コメダトレーニングセンター」から来日した55人の特定技能生のうち、3年後に転職したのはわずか2人だけです。53人が引き続きコメダ珈琲店で働いているという高い定着率を実現しています。

一般的に、飲食業界では外国人材の転職が多いとされていますが、「コメダトレーニングセンター」の事前スクリーニングと教育、そして来日後の継続的なサポートが功を奏し、長期的な定着につながっていることが証明されています。

「日本では、将来的にも雇用が最大の経営課題となるでしょう。コストがかかっても、人がいなければ飲食業は成り立ちません。アルバイトであれ社員であれ、安定した雇用がなければ、良い店舗運営はできません。余裕を持った人材確保が必要です。これまで人材の問題が原因で新規出店ができませんでしたが、このプログラムを活用してミャンマー人材の雇用が安定すれば、長年実現できなかった新規出店も視野に入れたい」

前出のタニ商店の谷口社長は、将来への期待が膨らんでいます。

西垣 充 ジェイサット(J-SAT)代表

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にしがき みつる

ミャンマー専門コンサルティング会社「ジェイサット(J-SAT)」代表。大手経営コンサルティング会社から、1996年4月に日系企業のヤンゴン事務所に転職。98年に独立し、同地にてJ-SATを設立。企業のミャンマー進出支援やミャンマーでは最難関の日本語学校を運営、ミャンマー人エンジニアや日本語が話せる技能実習生・特定技能生派遣など、一貫してヤンゴンに常駐してビジネスを行う。

ジェトロ・プラットフォームコーディネーターや大阪府ビジネスサポートデスク、福岡アジアビジネスセンターなど公的機関のアドバイザーも務めるミャンマー支援の第一人者。

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