「外国人材をどう定着させるか」コメダ珈琲店の秘訣 離職率高い飲食業界の問題を「現地採用・教育」で解消へ
コメダホールディングスの甘利祐一社長が、「『いつもの』の意味を知っていますか」と日本語で問いかけたところ、ある2期生が「毎日来られるお客様のメニューを覚えて、それをお出しすることです」と即答。その的確な理解力に、甘利社長も舌を巻いていたようです。
1期生と2期生の成功を受け、コメダ珈琲店本部は店舗の大半を占めるフランチャイズチェーン店向けに、この人材育成・採用の仕組みを本格的に展開することを決定しました。
コメダ珈琲店本部の採用であれば人事部が存在し、業務を担当できますが、FC店の多くは人事部を持たないため、外国人材の採用がネックになりがちです。
FC店の採用負担を軽減する仕組み
そこで本部が中心となり、FC店の負担を軽減する仕組みを整えました。具体的には、住居探しや準備、住所登録などの行政手続きの支援に加え、ミャンマー人材の採用・定着に長年の経験を持つ提携先企業と連携し、勤務後も外国人材がつねに相談できる体制を構築しました。
また、定期的に提携先を通じて外国人材へのヒアリングを実施することで、本部も経験を蓄積し、よりよいシステムへと改善を重ねています。こうして得られた知見をFC加盟店にフィードバックする仕組みが確立されており、外国人材の採用・定着を支える持続的なサポート体制を作り上げました。
「コメダトレーニングセンター」、そして来日後にコメダ珈琲店で働く人材のサポートを担うJ-SATの森川晃ゼネラルマネージャーは、同センターの強みとして次の3つを指摘します。
② 「日本で働きたい」ではなく「コメダ珈琲店で働きたい」人材の選抜=日本での就労を目的とするのではなく「コメダ珈琲店で働きたい」という強い意志を持った人材を選び、採用前からミスマッチを防ぐ。
③ 長期的な定着を見据えたサポート体制の構築=来日後も、住居手配や行政手続きのサポート、キャリアパスのフォローを行い、定期的なヒアリングを通じて課題を早期に解決する体制を整える。
日本の外食業で働く外国人の多くは「金稼ぎ」を目的にしているケースが多く、賃金の高さを最優先にして勤務先を選ぶ傾向があります。そのため、「その企業で働きたい」という動機よりも、賃金の高い職場や都会の勤務地を基準に職場を決めることが少なくありません。
また、賃金の高い企業に採用されなかった外国人が、最低賃金の低い地方や特定の業種に紹介されることも多く、こうした要因が定着率に影響を及ぼしているようです。
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