スシロー「鶴瓶削除→撤回して謝罪」が大失態な訳 とばっちりのクレームに屈した企業と印象づいた
「早急な判断」は、ときに延焼を食い止める効果的な策になる。しかし今回は、鶴瓶さんを起用する他のスポンサーが、スシローに追随しなかった。「鶴瓶の麦茶」の愛称で親しまれる、健康ミネラルむぎ茶の伊藤園などは、なにもしていないのに、スシローの対応を受けて、むしろ相対的に好感度がアップしている。
なによりスシローにダメージとなるのは、一連の経緯で「“とばっちり”のクレームに屈した企業」と印象づけてしまったことだ。大企業の判断は、社会的制裁になり得る。起用見合わせによって「鶴瓶さんは『やらかした人間』だ」と印象づけた責任は大きい。
加えての悪手は、消費者に「タレントの使い捨て感」を与えてしまったことだ。鶴瓶さんがスシローに起用されたのは、2023年7月のこと。迷惑客による「しょうゆペロペロ」から半年後にあたり、衛生面でのネガティブイメージ払拭に、一定程度は貢献したものと考えられる。
しかし、起用からわずか1年半で、今回の騒動になってしまった。関係値が浅いのは間違いないが、そこで「即切り」してしまうと、視聴者には「都合がいい時だけ利用する」と感じさせてしまう。
企業とイメージキャラクターは運命共同体だ。悪く言えば「死なばもろとも」でもある。その点でイメージアップした直近の例が、JCBだ。旧ジャニーズ事務所(SMILE-UP.)の性加害問題が話題になっていた2023年9月、当時同社に所属していた二宮和也さんの継続起用を見合わせた。
対応としてはファンを失望させるものだったが、その際に企業として「2010年より13年間、私達と一緒に歩んできた特別な存在」と表現したことで、好印象を与えた。結果的に、起用再開までは約半年を要したが、JCBのポジティブイメージは、そのまま残った。
異例ともいえる、アイリスオーヤマの判断
こうした前例を振り返ると、視聴者や消費者は「タレントは企業イメージを背負うのに、企業はタレントのイメージを背負わない」ことに、潜在的な違和感を覚えているのではないかと感じる。
その点で、異例とも言えるのが、アイリスオーヤマの判断だ。2025年1月、吉沢亮さんが酔って、自宅マンションの隣家に侵入したと報じられるも、その約1週間後に「吉沢亮さんのタレント契約 継続決定のお知らせ」を打ち出して、大きな注目を集めた。
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