トロント証券取引所には、世界各地で資源開発を手がける比較的小規模な鉱山会社が多数上場している。これらの企業にとって、中国企業は採掘した資源の大口需要家であると同時に、開発初期の先行投資を支えてくれる金脈でもあった。
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一方、中国企業にとってカナダの上場鉱山会社への投資は、海外の資源開発権益を獲得する早道の1つだった。中でも南米のリチウム資源への投資ブームでは、カナダが主要な「中継点」になっていた。
中国抜きの資金調達困難
ところが、カナダ政府のたび重なる規制強化により、小規模な鉱山会社は中国企業をあてにした資金調達が困難になった。だが見方を変えれば、鉱山会社はカナダ政府の介入リスクを下げることで、中国企業の投資をつなぎ留めることができる。リチウム・アルゼンチナが本社をスイスに移転するのは、まさにそれが目的だ。
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鉱山会社の「カナダ脱出」は、リチウム・アルゼンチナが初めてではない。中南米で複数の銅山開発を手がけるソラリス・リソーシズは2024年1月、同社の発行済み株式の15%を中国の資源開発大手の紫金鉱業に売却すると発表。その資金をエクアドルの銅山開発に投じる計画だった。
だが、この取引はカナダ政府の承認を得られる見通しが立たなかった。そのため同社は計画を変更。2024年11月に本社をスイスに移転し、カナダの旧本社事務所を完全に閉鎖した。
(財新記者:蘆羽桐)
※原文の配信は1月23日
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