82歳料理研究家が伝授「食べ力」鍛える"簡単"習慣 ひき肉そぼろを加えてたんぱく質"ちょい足し"
それではいけません。体は24時間365日休みなく稼働する工場のようなもの。簡単なものでいいから食べ続けて、体に栄養を送り続ける。エネルギーが補給されて元気に動ければ、気持ちも前向きになる。そんなサイクル全体が「食べ力」だと思ってください。
サルコペニアとフレイル
高齢者にサルコペニアとフレイルが増えている、という話を最近よく耳にします。サルコペニアは加齢によって筋肉量が減少し、筋力や身体機能の低下を引き起こしている状態です。バスの昇降口でふんばれずに上がるのに苦労をしたり、体幹が弱くなってステッキで体を支えたり、壁に手をつかないときちんとした姿勢がたもてなくなります。
いっぽうフレイルは、身体機能だけでなく、精神的にも衰えがみられる状態をいいます。外出したり、人と会ったり、社会的な活動をする気力を失ってしまうのです。
サルコペニアやフレイルの予防に大切な栄養素は、たんぱく質です。筋肉を維持するためには、たんぱく質を摂らなくてはいけません。1日のたんぱく質摂取量が70グラム以上の人は虚弱になるリスクが少ないというデータがあります。虚弱とは、筋肉が弱って階段を上がったり歩いたりなどの日常生活に支障をきたす状態のことです。
たんぱく質70グラムを摂るための食品量はどのくらいでしょうか。例えば、脂肪の少ない赤身の牛もも肉100グラムに含まれるたんぱく質は、約20グラム。1日にたんぱく質70グラムを摂るためには、肉に換算すると350グラム必要になります。
食材により、たんぱく質の含有量が違いますが、大まかな目標として1回の食事で120~130グラムのたんぱく質食品を食べることを目指したいです。朝食を例に挙げると、納豆1パックと卵1個、豆腐の味噌汁を食べればクリアです。
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