2024年の暮れ、まだまだ先のことだが2034年のFIFAワールドカップが、中東の大国サウジアラビアで開かれることが決まった。
2026年、2030年と、このあと2回続けて複数の国での開催となっているが、再び一国単独で開くという発表は、かの国の施設の良さや充実度を示しているように思える。
サウジアラビアといえば、(EVが広がってきたとはいえ)クルマを走らせるのに不可欠なガソリンの元となる原油を採掘する資源国だ。日本が最も多くの原油輸入を頼っている国であり、2023年の原油輸入のおよそ4割がサウジアラビア産である。
しかし、この石油大国は近年、世界的な脱石油化の流れや将来の石油資源枯渇に備えて、さまざまな新規産業へと転換を図っている。そのうちのひとつが、「観光」だ。サウジアラビアは今、「観光立国」へと舵を切っているのである。
観光ビザ発給は2019年から
サウジアラビアは、これまで長い間、対外的に観光での入国を禁じてきたが、2019年になって観光ビザの発給を始めた。
ところが、すぐに新型コロナウイルスの世界的な流行に突入し、真の解禁となったのはコロナ禍が収まった2023年頃からで、まだまだ「観光元年」ともいってよい初々しさが残る状態である。
一方で、全世界で20億人を超えるイスラム教徒が一生に一度行わなければならない、大巡礼の聖地メッカ(現地語ではマッカ)は、いうまでもなくサウジアラビアに所在する。
イスラム信者は一千年の長きにわたって、連綿とメッカへの巡礼を重ねてきた。このように異教徒には厳しかったが、アッラーを信じる人たちには門戸を開き続けてきた歴史があり、「おもてなし」の精神も深く根付いているという。
私たち異教徒も、おもてなしを受けることができるのか。この年末年始、初めてこの国に足を踏み入れることになった。
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