観光解禁で初入国「サウジアラビア」の異世界感 異教徒への扉を開けた「FIFA2034」開催の地へ

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旅行者は滞在中、一切アルコール類を手に入れることはできず、ホテルであっても飲むことができないのも変わっていない。

最新の超高層ビル、古い街並みの修復を進めて観光地化に邁進するリヤドやジェッダ、巨大な岩山に穿たれた墓所を気球やヘリコプターで上空から眺める遊覧ツアー……などなど、多彩な顔を持つサウジアラビアは、窓外の景色を楽しむだけでも来るかいがある、一級の観光地であることを実感する旅であった。

国道を走っているとラクダの群れに遭遇することもあった(筆者撮影)
国道を走っているとラクダの群れに遭遇することもあった(筆者撮影)

急激な人口増加で発展する交通網

前述したように、サウジアラビアは産油国だけあって完全なクルマ社会だが、高速鉄道や地下鉄の整備も進んでいる。2018年には、ジェッダを介して2つの聖地を結ぶ、サウジ版新幹線ともいえるハマライン高速鉄道が開通している。

また、首都リヤドの地下鉄は、私たちが訪問していた前後、2024年12月から2025年1月にかけて、3回に分けて6路線が一気に開通した。その背景に激しい交通渋滞があることは、容易に想像がつく。

リヤド・メトロの駅の入口(筆者撮影)
リヤド・メトロの駅の入り口(筆者撮影)

リヤドも急激な人口増加(2012年からの10年間で25%も増加している)で郊外へのスプロール化が進行、「朝晩を中心にクルマが動かなくなることがある」という話をガイドから聞いたし、実際空港への移動もクルマが混雑する時間を避けるよう、現地ガイドは心を砕いていたのを目の当たりにした。

こうした公共交通機関、特に鉄道の整備は、女性の社会進出や観光客の移動の後押しになるとも期待されている。宿泊したリヤドのホテルの目の前にもメトロの駅ができていたが、その入り口は馬の鞍のような美しいデザインだった。

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今年4月から大阪市の夢洲で大阪・関西万博が開催されるが、次の大規模な万博(登録博)の開催地は、このリヤドに決まっている。今後一層、鉄道や道路などの交通機関の整備が進みそうである。

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佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、高崎経済大学特任教授、京都光華女子大学教授を歴任し、現職。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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