子どもが「テスト0点」でも平気な親が最強の真実 教育界きってのカリスマが保護者の悩みに回答
おおた 勉強ができないままだと困るから怒鳴っちゃうんだけど、怒鳴れば怒鳴るほどますます勉強ができなくなることははっきりしてて、どのみちできないんだったらどっちでもいいじゃん、なんとかなるよ、と。達観ですね。
完璧で隙のない保護者のもとで育つ息苦しさ
井本 だけど、ときどき本当に隙のない親御さんがいて、それがいちばん悲惨です。
おおた ときどき完璧に子どもをコントロールするひとはいますよね。ただ怒鳴りつけて従わせるんじゃなくて、コーチングも心得ていたりして、真綿でくるむようにして思い通りに子どもを操る。開成の先生はそういうのを「カーリング親子」って言ってました。子どもが自分で進んでいるように見えて、実は進む方向を親が誘導しているって。
井本 そうすると子どもがどうなるかっていうと、内弁慶の逆になるんですよ。家では“いい子”。てことは、外でバランスとらないと無理。いろいろ問題を起こしちゃう。深刻な場合、刃傷沙汰になります。ひとを傷つけたいわけじゃなくて、衝動的にやらざるを得ない心境になるんだと思います。
宮本 昔、ものすごくやんちゃタイプなのにカトリックのおしとやかな学校に行った生徒がいました。絶対窮屈な思いをするよなと心配してたんですが、本人は大丈夫。窮屈な場所にいても、自分が居心地いいように、見事に大人を操るんです。受験を終えて親子で訪ねてきたときでも親御さんは「うちでは素直でいい子なんですよ」って本気で言ってる。「面倒くさいから言うことを聞いてるふりをしているだけだよな」って本人に聞いたら「そうだよー」って答えて、お母さんは「えーっ」ってびっくりしてました。あれは面白かった。
逆に猫かわいがりする親がいて、これは本当に子どもが気の毒でした。その子はね、小6になってもおねしょしてました。お母さんと手をつないで寝るんですって。中学受験は本人の行く気のなかった地方の学校にしか受からず、引っ越しました。いつも寝不足でフラフラしてる子もいました。面談のときに母親が「昨日眠そうだったからマムシドリンクを飲ませました」って笑い話のつもりでニコニコ話すの。結局小6の後半でやめちゃったから、そのあとあの子がどうなったかわからないんですけど……。
おおた 親に隙があって、どこかで子ども自身がエスケープしてくれればいいけど。
井本 逃げられないときついっすよ。
おおた 隙がなさそうに見えても、「隙があるから大丈夫ですよ」って言ってあげちゃうことで、隙が広がるってこともあるかもしれないですね。「どんなにお母さんがお子さんにけしかけても、せいぜい勉強ができなくなるだけだから大丈夫」って(笑)。
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