脳疲労の具合は頭を触ることで確かめられる 過去への後悔、スマホ閲覧、スポーツでも脳は疲労する

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あるプロサッカーチームが新しい戦術を導入し、その練習をしはじめたときのことです。ふだんの練習よりも、考えることや瞬時に判断が要求される場面が明らかに増えていました。

トレーニングをやりはじめた当初は、30分もすると顔が紅潮して表情がぼんやりし、「頭がボーッとする」と訴える選手もいたほど。身体的な運動量としてはむしろふだんよりも少ないにもかかわらず、練習の終盤に向けて選手たちの動きは徐々に鈍くなり、判断は遅れ、正確性も失われていったのです。その後、戦術に慣れ、余裕が出てくるとそういった症状はまったく出なくなりました。

そもそもスポーツで結果を出すには、頭を使わなければ勝てません。想像以上に脳は疲れているのです。脳疲労は筋肉や内臓の疲労に比べ、よりさまざまな理由で起こります。ここですべて説明するのはやや無理がありますので、代表的なものを3つに絞って紹介しますが、これだけでも脳の疲労は改善していきます。

無意識に脳のエネルギーを浪費している

原因①DMNが働きすぎる

脳のすべての疲れやストレスは、過去や未来への意識から生まれます。みなさんはDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)をご存じですか? 

専門的には「無意識に近い状態で、記憶や経験に準じてオートマチックに情報処理や指示出しをする」と説明されますが、シンプルに脳の自動操縦のことだと理解しておいてください。

自動操縦とは、どれだけボーッとしているときでも、さまざまな雑念が浮かんでくることを指します。特に何かを考えようとしていないのに、勝手に頭の中で考えごとがはじまってしまう経験は誰しもあると思います。これが、DMNが働いている状態です。

脳は身体が消費する全エネルギーの約20%を使います。そのうちDMNのエネルギー消費量は、脳の全エネルギー消費の60〜80%を占めるとも言われています。よって積極的に脳を使っていなくても、DMNが過剰に働き続ける限り、脳はどんどん疲れていきます。

さらに、自動操縦以外にも過剰に働く場面があります。それは不安や悩みに心を奪われているときです。すでに終わったことを気に病んでいたり、これから起こることを不安に思ったりするときに、DMNは過剰に活動します。

「あのとき、ああしていればよかった」

「来週の試合でうまく結果が残せるだろうか……」

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