人事部が「社員の人生相談」を聞く"深い理由" 「無駄な離職」を減らすために必要とされること
「前の会社って言い過ぎると煙たがられるから、しばらくは言わないほうがいいと思いますよ。まだ大丈夫ですから、もうちょっとじっくり周りを見て、この会社の文化や風習もよく見て、それから前の会社の経験を活かしてもらえばいいですから」
その人が、半年、1年くらい経って成果を出せたときは、本当に良かったなと思います。頑張って働く人を応援・支援するのが人事の役割。その環境を整え、社員が成果を出せたときが、人事の喜びの1つですね。
自分が企画した研修で、若手の顔つきが変わった
自分が企画した研修で若手の顔つきが変わったときも、人事の喜びを感じられることの1つです。私が中途採用で入った会社は、それまでほとんど研修というものをやったことがありませんでした。人事制度も整っていなかったので、私はある研修を企画しました。
それは、階層別に1泊2日で社員に集まってもらい、新しい人事制度をつくるための研修です。1日目は、会社の「行動指針」をみんなで考えるセッション。2日目は、評価制度をつくるために部長層・課長層・主任層など、階層ごとに「自分たちは何を求められているのか」を話し合ってもらうセッションでした。
その会社は200人規模だったので、20数名ずつ8回にわたってこの研修を行い、社長にも来てもらって一緒に夕飯を食べたりして、みんな楽しそうにしていました。
そうしてできた「行動指針」は、私が退社して10年以上経った今でも使ってくれています。また、何より大きかったのは、社員の意見を反映した評価制度ができたことでした。
新しい制度を導入すると、多かれ少なかれ、社員からの反発があるものです。しかし、研修を通じて自ら「自分たちは何を求められているのか」を考えてもらい、それらを評価基準にしたので、誰も文句を言いませんでしたし、すんなり受け入れてくれました。