和田秀樹「60歳からでも脳はどんどん発達する」 自分の限界を決めてしまうのはもったいない

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その驚異的な記憶力に関心を抱いた博士が、タクシー運転手と一般の人たちとの脳の比較研究をした結果、運転手たちの脳の「海馬(記憶を司る部位)」が、一般の人たちより大きく発達していることを発見したのです。

特に長年従事している運転手ほどその度合いは大きく、運転手歴30年を超えるベテランは、海馬の体積が実に3%も増えていました。

脳は訓練次第で何歳からでも発達する

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ベテラン運転手の脳内には、緻密な道路地図が見事にインプットされています。彼は毎日、乗客から目的地を告げられるたびに、その詳細な地図を思い浮かべながらベストな行き方を想定します。

そのような、「情報を記憶し、それを引き出す」という作業を長年にわたって積み重ねてきた結果、彼の海馬の神経細胞は増え、大きく発達していたというわけです。

このように、脳は訓練次第で何歳からでも発達しますし、このベテラン運転手の例のように、若い頃より記憶の容量を増やしたり、働きをよくしたりすることだって十分に可能なのです。

筋力と同じように、記憶力も思考力も、使わなければ当然衰えていきます。だからこそ、「もう歳だから」とマイナスな自己暗示をかけて諦めるのではなく、「まだまだこれから」と前向きな気持ちで脳を鍛えていくことが大切です。そうすれば自ずと結果はついてきますし、理想を持つことで毎日に張りも生まれてくるでしょう。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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