「余命1年」治療第2弾がん免疫療法のリアルな効果 副作用は軽く、旅行に行けるほど体調良好だったが…

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免疫療法中の7月下旬に取材で訪れた勝浦。体調が心配だったが、実際はどうってことなかった(筆者撮影)
2024年春、ジャーナリストの山田稔(64)さんに膀胱がんが発覚、肺にも転移しており、ステージ4でした。医師が語る病状説明を淡々と受け入れ、がんとの共存の道を選択した山田さんは、抗がん剤治療を経て10月に膀胱の全摘出手術を受けました。本連載(今回は第6回)では、がん免疫療法の副作用と実際の効果について記します。

全身化学療法の成功をうけて次のステップに

膀胱がん治療の第1弾である全身化学療法「GCarbo療法」(ゲムシタビンとカルボプラチンの併用)の効果が現れて、肺に転移した腫瘍が6割ほどに小さくなった。それを受け、医師と相談のうえ、7月から新たな治療に取り組むことにした。

バベンチオという薬を使う「アベルマブ療法」という名称のがん免疫療法だ。この薬は患者の体に備わっている免疫細胞(T細胞)の受容体(PD-1)と、がん細胞が作る物質(PD-L1)の結合を阻害し、T細胞の増殖や活性化を増強する。がん細胞に対する免疫機能が正常に働くようにして、腫瘍の増殖を抑える薬で、免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれている。

初回は7月中旬。慎重を期して前日から2泊3日で入院した。窓側の部屋で開放感があり快適だ。初日の担当看護師はベテランのNさんと中堅のIさんのコンビ。安心して任せられるお二人だ。入院当日は血液検査(6本)とレントゲン撮影。順調に進み、夕食を終えるとコーヒーを淹れてくつろぐ。明日からの新療法に備えて早めに就寝した。

翌朝、起きて窓の外を眺める。快晴だ。今日も暑くなりそうだ。体調は良好、朝食もぺろりと平らげた。10時半から投与が始まった。最初にレスタミンコーワ錠(アレルギー予防薬)を服用。次にアセリオ(アレルギー予防薬)を点滴。15分ぐらいだ。そしてバベンチオを1時間かけて投与し、最後に生理食塩液で洗い流す。投与中、違和感もアレルギーも何もなく、順調に終わった。

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