AI時代にこそ求められる人間のリアルな感覚 子どもの非認知能力は外遊びで伸びる

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窪田:たしかに人間の能力として重視されるものも変わっていきそうですよね。AIが浸透すれば、言語だけで処理できるような能力は、全部AIに取って代わられてしまう。でも、非認知能力は人間にしかない機能として、新たな価値や人生の豊かさを生み出していく可能性があります。

為末:そうなんです。例えば、非認知能力の1つのコミュニケーション力は、まさに遊びから得られるもの。子どもは友達と遊びながら「このぐらいでぶつかると笑い合えるけれど、このぐらいだと怒られるのか」と、無意識に力加減を学んでいます。その肌感覚みたいなものが、コミュニケーションの本質に影響しているのではないかと思うんです。

窪田:幼少期にその感覚を学ぶのはとても大事ですよね。そうでなければ、平気で人を傷つけてしまうことにも。

為末:今後、私たちが「知的」だと思っていたもののほうがむしろAIに代替されやすくなって、より感覚的なもののほうが大事になるとしたら、ますます外遊びの重要性は高まるのではないかと。

窪田:同感ですね。人間の視覚が発達したのも、人にとって相手の表情をどのくらい読み取れるかが重要だったからなんです。視覚からの情報で、相手の精神状態を読み取り、どんなコミュニケーションをとればよいかが分かる。

そうしたやり取りを多く経験することで、コミュニケーション能力が高まっていきます。それにはやはり子どもの頃に、直接、人と接して感覚的なものを得ることが大事なんですよね。

リアルと3D映像では、見る時の目のメカニズムが違う

為末:窪田先生に聞きたかったのですが、リアルと3D映像では、目にとって違いはありますか?

窪田:それは全然違いますね。例えば、目は遠くのものから近くのものを見る時に、ピント調整と同時に輻輳といって目の向きも変えます。簡単に言うと、近くのものを見るときに目が寄るということです。ところが3D映像では、映像が決まった距離に投影されているので、奥行きの異なる対象物を両目で1つに見るための輻輳が起こらないんです。

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