「若者の街」じゃなくなった渋谷への寂しさの正体 お金のない若者でも楽しめた街は、今はもうない

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奇しくも同時期に交通網の再編を背景として渋谷駅周辺の大規模な再開発計画が持ち上がる。今に続く「100年に1度」といわれる大規模な渋谷再開発の始まりであった。

こうして、2000年代中盤ぐらいから渋谷の街自体の大規模な再編が始まっていく。

「ビジネスパーソン」と「インバウンド観光客」の街へ

こうした再開発の際のターゲットになっているのが、ビジネスパーソンとインバウンド観光客である。

そもそも、事業者側から見れば、若者の数は年々減っているし、その消費額は大人世代に比べれば少ない。渋谷が若者の街として注目されればされるほど、そこをビジネスの舞台として活用しようとする人が現れる。

けれど、集まってきた事業者側にとってみれば若者はターゲットとしてはふさわしくないのだ。

そこで新たなターゲットに据えられるのが「大人」であり、具体的にはビジネスパーソンとインバウンド観光客なのである。

実際、渋谷に新しく誕生するビルにはオフィスなどが軒並み入居している。さらに、近年ではインバウンド観光客向けのホテルの建設も相次いでいるし、商業施設でもインバウンド観光客を意識したコンテンツが増えてきた。

例えば、2019年にリニューアルオープンした渋谷PARCOの中には、「ニンテンドーショップ」や「ポケモンショップ」といった海外でも人気の日本のIP(知的財産)を扱うテナントが多く入居している。

こうした試みは功を奏しているようで、2023年度において、インバウンド観光客全体の67.1%が渋谷を訪れている。もちろん、これは東京の中で1番である。

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