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ライフ #テーマパーク化する東京

「若者の街」じゃなくなった渋谷への寂しさの正体

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  • 谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家
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ニセコが「選択と集中」で成功したように、渋谷でもまた「選択と集中」による成功が起こっている。「選択と集中」する街になるどころか、もともと渋谷は「選択と集中」をしてきたからこそ、今のポジションがあるわけだ。

たくさんのインバウンド客が来ることですっかり有名になった街・ニセコ。写真のような、外国人向けのホテルがたくさんある(筆者撮影)

ここでも、外国人観光客向けにさまざまな商品が高額になっていることが連日報道されている。例えば、普通のカツ丼が3000円など、一般の日本人からすれば目が飛び出るような価格の商品がゴロゴロ転がっている。

ニセコ・ひらふのセイコーマート。高いシャンパンがゴロゴロ(筆者撮影)

このエリアを歩けば、看板は英語ばかりだし、コンドミニアムも外国人向けに作られていて街並みはどこかの外国のよう。まるでディズニーランドのようなテーマパークが広がっている。

ニセコでは、英語の看板が至る所に確認できる(筆者撮影)

行きすぎた「選択と集中」の果てには何が待っているのか

このように私自身は、「ニセコ化」や、現在の渋谷について完全に否定的な見解を持っているわけではない。

ただ、やはり「ニセコ化」が進みすぎた社会については、警戒して捉えるべき側面もあるだろう、というのが正直な感想でもある。

「若者」から「ビジネスパーソン・インバウンド」へのシフトチェンジが進む渋谷だが、「ラーメン1000円の壁」で日本人がザワつく昨今である。

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そもそも、ビジネスパーソンだって富裕層ではないから、こうした渋谷の高級化の選択からだんだんとこぼれ落ちていくかもしれない。

ビジネス的に利回りがいいのは、圧倒的にインバウンドを「選択」し続けることだ。彼らは2000円のラーメンでも食べられる(もしかしたら5000円でも)。

となればこの「選択と集中」はさらに先鋭化していく。そうなった先に、渋谷は、東京は、日本はどうなっていくのだろうか。

もしも「ニセコ化」を適切に批判するのであれば、それがもたらす「プラスの側面」も踏まえたうえで、それでもそのマイナス面を考えていく必要がある。渋谷という街の変遷は、実はこの「ニセコ化」を考えるうえで、この上なく面白いサンプルなのだ。

そして、「渋谷は変わってしまった」という嘆きには、そんな都市の変容が刻まれている。

連載の前回の記事はこちら:「インバウン丼」食べない人にも批判された深い訳 テーマパーク化するニッポンに、どう向き合うか

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