職場の「マタハラ」はまだまだ深刻な問題だ 今後は非正規社員の育休取得も焦点に
マタニティハラスメント(通称マタハラ)という言葉は広く知られるようになったが、そのきっかけのひとつとなったのが、日本労働組合総連合会(連合)が2013年5月に実施した「マタニティハラスメント(マタハラ)に関する意識調査」だった。
最近では、企業で働く女性の活躍を促そうと、管理職比率の引き上げを図る動きや妊娠・出産、復職に関する制度の整備や企業風土に改善がみられるが、これは正社員の女性をターゲットとしたもの。働く女性の多くを占める非正規社員の女性たちは取り残されていないだろうか。
非正規社員が育休を取得するには
2015年8月に連合が実施した3回目の意識調査は、直近5年以内に妊娠経験がある20代~40代の654人の女性を対象としている。妊娠時の雇用形態は正社員・公務員4割、派遣、契約、パート・アルバイトといった非正規で働く女性が6割と、リアルな実態が映し出されたものであり、非正規雇用で働く女性を取り巻く問題が浮き彫りになった。
そのひとつが、パートや契約社員の育休取得についてだ。実は、有期契約で働く労働者も一定の条件をクリアした場合には育休を取得できるのだが、そのことを知っている人が非常に少ない。今回の調査でも75%の女性が知らないと回答した。しかもその条件とは、「育休開始時において同じ会社に1年以上雇用されており、子が1歳の誕生日以降も引き続き雇用が見込まれ、子の2歳の誕生日の前々日までに雇用契約が満了し、更新されないことが申し出時点で明らかになっていない場合」なのだ。
連合非正規労働センター総合局長の村上陽子氏は、「1年以上の雇用というのはともかく、子どもが1歳になるまで契約が続く、2歳になるまで雇止めされないのが明らかというのはとても厳しい。有期雇用者を戦力と考えて更新を前提としている企業は別だが、そうでない会社はここまでやらないのでは」と指摘する。
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