「“原価率50%”と一口に言っても、1400円で売れば、消費税を引いても600円強は儲かります。2000円で売れば900円以上は儲かるんです。
ですが、800円で売る場合は全然儲かりません。薄利多売でお客さんを増やすしかないんです」(小松崎さん)
1日200杯をしっかり売り、定休日なしでお客さんをたくさん呼ぶことが「無冠」の戦略のすべてだ。オペレーションを徹底的に工夫し、なるべく行列が長くならないようにする。
スタッフを4人入れ、茹で時間の短い細麺をずっと茹で続け、1杯1分以内で仕上げていく。盛り付けもシンプルにして、素早く提供できるようにしている。
もちろん、廃棄ロスの削減も頑張っている
食材をムダにしないのも小松崎さんのこだわりだ。
牡蠣のスープを取りながらブレンダーをかけて実を細かくしていき、これにニンニクなどを和えてムース状にする。この牡蠣ムースを麺の上にたっぷりのせるようにした。牡蠣のスープとともにムースを味わうことで、牡蠣のうま味がブーストされる。
これはムダなく食材を使うという考えが原点にある。スープに使った食材は、ダシガラとなり廃棄されてしまうことが多いが、ダシガラも味が残っているのでなんとかうまく使えないかと考え、このムースができた。牡蠣ムースは今や「無冠」のラーメンの大きな魅力の一つだ。
「安く売って満足してもらうことでファンができていきます。1日100杯出す店より200杯出す店のほうが確実にファンが多くなります。長い目で見たら常連の数が全然変わってくると思うんです。
スタッフも、ヒマよりは動き続けているほうが楽なものです。ガンガン売れる喜びを、味わってもらえていると思います」(小松崎さん)
薄利多売というと、どうしてもネガティブな印象を持たれがちだが、それだけ多くのファンが生まれやすいし、従業員にも働く楽しさを与えられる。小松崎さんはそう考えたのだ。
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