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"退職代行"を使われた上司「信用ダウン」の悲劇 多いのは営業、職場に与える「3つの影響」とは

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  • 横山 信弘 アタックス・セールス・アソシエイツ 代表取締役会長
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最後に紹介するのは、「問題解決の機会を逃す」だ。

退職代行を利用されたら、誰もが職場環境や人間関係に根深い問題があったに違いないと受け取るだろう。しかし、退職代行を介して退職されると、こうした問題が表面化しない。

会社としては問題解決したくても本人が不在だし、連絡も取りづらい。そのためどのような問題があったのか特定ができないし、もちろん解決の機会を失う。結果的に職場環境の改善が進まないことが多い。

残された上司の「悲哀」

最も深刻なのは、残された上司だ。前述したとおり、上司の評価が下がることはあっても、上がることはない。

ある商社に勤める、女性の営業アシスタントが入社して2年で退職した。退職代行を利用しての退職であったため、その上司に対しては、あらぬ噂が立った。

「上司がマジメすぎたんだ」

「彼は融通がきかないところがあるから」

「一所懸命に部下指導していたのが、かえって仇になったのでは?」

実際に、その上司は早期に部下が戦力となるよう熱心に指導していた。部下もその熱意にこたえようと日々の仕事に励んでいた。ただ、交際していた男性の会社に転職することが突如決まり、言い出せなくて退職代行を利用したのである。

退職したあと、この部下は上司と連絡をとり、事情を説明して関係も修復した。「前職の上司」として結婚披露宴にも招待されたほどだ。

ところが社内における「部下に退職代行を使われた上司」のレッテルは、なかなか剝がれそうにない。新しい部下に熱血指導していると、「おいおい、また退職代行を使われちゃうぞ」と部長にからかわれる始末だ。

退職代行を使われないようにする、などという対策は難しい。だからといって無策ではいられない。上司は部下の声に耳を傾け、部下は自分の意思をしっかりと伝える。そうした基本的なコミュニケーションを日ごろから大切にすることがまず不可欠だろう。

「最近の若い人には、こうすればいい」といった決めつけるような考え方はせず、相手の立場に立って考えることが原理原則だ。退職代行サービスが使われることがゼロになるとは思わない。しかしそういった心掛けによって健全な職場環境を作ることはできるのではないだろうか。

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