"退職代行"を使われた上司「信用ダウン」の悲劇 多いのは営業、職場に与える「3つの影響」とは
「営業」の利用者が多いことは、営業コンサルタントの私としては注目すべき点だ。ここからは私の臆測にすぎないが、理由は次の2つだと考えている。
20年以上、営業コンサルティングという仕事をしてきてハッキリわかることがある。それは、営業はほかの職種と比べて「出来不出来」の個人差が大きく出てしまう、という点だ。
私たちコンサルタントは、何とかしてこの「できる営業」と「できない営業」の差を縮めようと支援するのだが、自分流でやっている営業組織は、なかなかこの差を減らすことができない。
「なぜ同期入社したAさんは結果を出しているのに、君はこんな結果しか出せないんだ?」
こんな風に上司から日常的に問い詰められていたら、いざ退職したいと思っても自分から切り出せないかもしれない。
また、個人差が大きいということは、「できる営業」に抜けられると組織としてのダメージが大きすぎる、ということでもある。だから強く引き留められる営業がいることも頷ける。
退職代行が使われたことによる職場の影響
あるメンバーが代行サービスを利用して退職した場合、普通の退職と比べて、大なり小なり職場には影響が生じる。主な影響としては次の3点が挙げられるだろう。
まず、「引き継ぎが不十分になる」である。
退職代行が介入すると、多くの上司や同僚は退職者との連絡を取りにくく感じるだろう。その結果、退職者が関わっていたプロジェクトや案件の引き継ぎが難航する。顧客に迷惑がかかることもあるだろう。
単に資料やマニュアルを用意しただけで引き継ぎは完了しない。対話があってはじめて認識のズレがなくなるものだ。当事者と十分なコミュニケーションがとりづらくなるのは、残されたメンバーにとっていいことはない。
次の「残された上司の評価が下がる」は深刻な影響である。
部下が退職代行を利用して退職した場合、周りはその上司に対して「あの人の部下は退職代行を使って会社を辞めた」というレッテルを貼るだろう。
「良好に見えていた上司と部下の関係に問題があったのではないか」「見かけによらず上司が高圧的だったのではないか」など、勝手に推測されるかもしれず、事実であるかどうかに関係なく、上司の評価は下がりやすくなる。
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