「移民・難民をアフリカへ」知られざる欧州の転換 受け入れの理念から強硬策へ舵を切る国々

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ドイツについては、『ドイツが転向を迫られた「移民難民問題」の深刻』で詳報したが、憲法に規定された「個人の基本権としての庇護権」の廃止を提言する保守系政治家も現れている。

一般的に難民の庇護を与えるのはあくまでも「受け入れ国の権利」だが、ドイツは憲法(基本法)16条で庇護権を「個人の基本権」とするなど、難民救済に手厚い原理的立場をとっていた。圧政を逃れる政治亡命(庇護、難民申請)は個人の自由を保障するために重要という、ナチ・ドイツの経験から生まれた、いかにもドイツらしい規定だった。

しかし、難民申請者の急増に対応するには、この先進的な規定の見直しもやむを得ないとの意見が提起されるようになっている。庇護権が個人の基本権であれば、難民申請を受理せざるを得ないが、基本権ではないことにすれば、受け入れ数の上限を決めることができ、社会的弱者を優先して直接受け入れる余裕も生まれるという。

南太平洋やアフリカに収容施設

さらに、EU加盟国に広がっているのが、国外(EU圏外)に収容施設を設置する動きだ。

デンマークは2021年、自国での難民申請者を国外に移送して収容することを可能にする法律を可決し、2022年にはアフリカのルワンダと、同国に難民申請者を移送する計画について合意した。2023年にいったん棚上げしたが、2024年になって他のEU加盟国と協調して、第3国に移送する計画の実現を探っている。

オランダもアフリカ系の不認定者をウガンダに移送することを検討している。

2024年5月には、ポーランド、デンマーク、オランダなどEU加盟国の15カ国が、「不法移民に対処するための新たな解決」を求める共同書簡を発表した。EU圏境の出入国管理の強化のほか、EU圏外の国に難民申請者を移送する措置についてもEUに提案している。

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