「移民・難民をアフリカへ」知られざる欧州の転換 受け入れの理念から強硬策へ舵を切る国々
EU加盟国ではないが、英国もルワンダに収容所を設置し、難民申請者を移送する計画を2022年4月、ボリス・ジョンソン首相(当時)が発表し、ルワンダ側に2億4000万ポンド(約490億円)を支払い、収容施設の建設も始まっていたが、2024年7月に政権交代した労働党のキア・スターマー首相は計画の撤回を発表した。
イタリアは、難民認定されることがほぼない「安全な出身国」から来た不法移民の男性を、アルバニアに建設した収容施設に収容することとし、2024年10月16日、16人を移送した。
しかし、そのうち、未成年者など4人をイタリアに戻し、さらにローマ地方裁判所が、残りのエジプト、バングラディシュ出身の男性12人をイタリア本国に移送するように命じた。両国が「安全な出身国」ではないから、という判決理由だった。イタリア政府は控訴するなど、この移送措置を継続する道を探っている。
イタリアの移送措置は難航しているが、EU15カ国の共同書簡には、難民申請者の移送を定めたイタリア―アルバニア間の議定書はモデルの一つとうたわれており、いくつかの加盟国は、こうしたやり方を模索していくことになるだろう。
南の島に送るオーストラリアが先例
この国外(圏外)に収容施設を設置するやり方は、すでにオーストラリアが太平洋南西部の島国ナウルなどに収容所を設置する「パシフィック・ソリューション」という前例がある。
ナウルとは2001年の協定に基づいて実施され、不法移民の受け入れ、難民審査をさせる代わりに、経済支援を行うという内容だった。難民不認定者は本国に送還し、難民認定者も第3国への移送を進め、オーストラリアは基本的に受け入れない。
人道上問題があるという批判を受けながら、中断をはさみ現在も続けられている。
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